業界を揺るがすフィルタリングの是非
昨今、携帯電話でのインターネット利用で話題となっているのは、問題のあるコンテンツのフィルタリングである。
携帯電話対応のWebサイトが増えるとともに、未成年の利用者数が大幅に拡大した。したがって、近年では誰でも公開されているコンテンツにアクセスできるという状況が大きな問題となっている。出会い系サイトなどでの出来事を発端にした事件が多発しているからである。そこで、通常のコンテンツと問題のあるコンテンツを、データベースに記録されたURLを基に振り分けて、アクセス制御をかけるフィルタリングが導入されることとなった(図5)。データベースは、専門の業者が管理を行なっており、オペレータが目視などで問題があるサイトかどうかを判断する。
こうしたフィルタリングは従来、企業のインターネット利用の制限で用いられていた。これを通信事業者でもやってもらおうというのが、総務省や東京都を始めとした自治体の方針である。ただし、SNSや出会い系などのコミュニケーションサイトや政党サイトなど、有害かどうかの判断は難しいため、一律な規制に問題があるのも事実だ。
インターネットで拡がる携帯電話の業務利用
PCの世界では、業務アプリケーションをWebブラウザから使うというのがかなり一般的だ。これに対して、携帯電話の利用はまだまだ低調といわざるを得ない。
理由は簡単で、社内LANを利用できないからだ。いくら携帯電話でWebブラウザやHTTPの通信機能を持っていても、業務アプリケーションのサーバが設置された社内LANを利用するのはなかなか難しい。多くの場合、携帯電話の通信網からいったんインターネットを経由して、社内LANにリモートアクセスしなければならない。もちろん、通信の安全性を担保するにはSSLなどでの暗号化も必要になる。そのため、携帯電話対応のWebアプリケーションは数あれど、なかなか業務用で使えないのが現状だ。
しかし、昨今はインターネット上で業務アプリケーションを提供するSaaSの台頭で状況が変わってきた。SaaSを代表するセールスフォース・ドットコムは、KDDIとの提携により「Salesforce Mobile Edition for au」を提供している。これを利用すると、セールスフォース・ドットコムの顧客管理・営業支援ツールがauの端末から利用できるようになる。
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