商品紹介ページでも、ハンガーの必要性をアピール
サイト上では、売れ筋商品などの商品紹介ページを上手に活用し、ハンガーに関する情報を掲載していきました。以下は、同店の人気商品であるドイツ・マワ社のマワハンガーを紹介するページを抜粋したものです。
ここでは、「あなたがお使いのハンガーはシルクが滑り落ちませんか」などと、ハンガーに対する問題提起を行ない、マワハンガーという商品のよさを伝えています。このように、サイト上からも、ハンガーに関する情報や、ハンガーを買ったらどんなメリットがあるのかを伝えていき、「ハンガー=買うべきモノ」だと広めていったのです。
とはいえ、それが多くの人に広まるのは何年も先のこと。開業月の売り上げは5万円。以後、2年間を経てやっと月商100万円を突破するなど、売れない時期も経験しています。
「でも常に、商品紹介ページの見せ方を考えたりメルマガでいかに分かりやすく伝えるかは考えていましたね。今、売れなくても、冬物に衣替えするときなどに、『そういえばハンガーの専門店があったよな』と思い出してもらえたらと思っていました。2004年からは広告展開も積極的に図りましたが、基本的には、地道にコツコツとハンガーの必要性を伝えたことが、うちのお店の存在を広めることにもつながり今に結びついたと思っています」。
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広告出稿については、メールアドレスの確保と、ページビューアップを目的に2004年から本格的に展開していきました。次回は、同店がとった広告施策を紹介します。
――ネットショップのエキスパートが斬る!――
商品を買う目的を明確に打ち出す
商品の付加価値を高める意味でも、『ハンガーのながしお』のように、「ハンガーを買う目的」を明確に打ち出すのは秀逸な戦略のひとつといえます。その商品を購入することが、「収納効率をアップするため」という目的があることを打ち出し、さらにその目的が実現されたら、「他の物の収納スペースが生まれることで部屋を広く使うことができ、結果、余裕のある暮らしができる」などと、“買った後のメリット”まで伝えることができるとベスト。視覚的効果を狙ったていねいな商品紹介ページを作り、日々、お客様にアピールする姿勢が、売り上げに結びついていきます。
森本繁生:有料会員制協業事業フォーラム「オンラインショップマスターズクラブ」運営。ブログ「森本繁生のEC道」
「買った方がいい!」と思わせる工夫を
たとえば、傘などの商材を見ても、コンビニの安いビニール傘で十分だと考える人もたくさんいます。彼らに対し5000円する傘を売りたい場合、5000円払ってもその傘を購入する必要性をアピールし、ビニール傘とどこが違うのか明確に打ち出していく。これが、商品の付加価値を高めることにもつながっていくと思います。
要は、ハンガー同様、「買わなくてもいい(買わなくてもすでにある)商材」を販売する場合、いかにうちのショップの商品を「買った方がいいモノ」だと思わせるかが重要。また傘の場合、梅雨の時期などに必要性を訴えた方が、よりアピール力が強まるなど、販売に最適な時期に商品を提案していくといった方法もあるかと思います。
竹内亮介:株式会社環 取締役。アクセス解析ツールを活用したWebサイトの改善提案、運営から、総合的なWebサイトプロデュースまで担当。