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遠藤諭の「0(ゼロ)グラム」へようこそ

古代ギリシャのコンピュータと4ビットマイコン

2009年06月19日 06時00分更新

文● 遠藤諭/アスキー総合研究所

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学研『大人の科学マガジン』Vol.24の「4ビットマイコン」付録のコンピュータ。「ハノイの塔」など何本か書いてみたが、「光のハート」(POV)は、5バイト半(漢字2文字と2/3の情報量)のプログラムで書けてしまった。改めてコンピュータとは何かということを考えさせられませんかね?

 『アンティキテラ』を読んでいるのと並行して、ここ数週間ほどの間、学研『大人の科学マガジン』Vol.24として発売される「4ビットマイコン」の付録コンピュータをいじっていた。現在のコンピュータの直接的な先祖は、英国で1948年に完成した「BABY」だとされている。BABYと名付けられたこの機械の記憶容量は128バイトである。ところが、大人の科学の付録コンピュータは、BABYよりさらに小さい、プログラム領域が40バイト、データ領域が8バイトしかない。

 漢字にして俳句(17文字)以上、短歌(31文字)未満の情報量しかないコンピュータというわけだ。それでも、一応プログラムを書いて結果を数字1桁のLEDなどで表現できる。これに比べたら、古代ギリシャのアンティキテラの機械は、むしろいまのパソコンで実行すべき精巧な天体シミュレータともいうべきものだろう。

 4ビットマイコンをいじっていると、BABYでデジタルの新天地に踏み出した研究者たちの気分を、おそらくこうだったろうと感じることができる。そして、古代ギリシャでアンティキテラで世界を模倣しようとしたその製作者(アルキメデスではないかという説もある)の気持ちも分かるような気もしてくる。60年、2000年と時間をさかのぼるのは、ちょっとしたタイムトラベルのような感じではないか(4ビットマイコンとアンティキテラの機械はまるで似ていないのだが、計算しようとするピュアな心が共通しているのだ)。

 それでは、いまのコンピュータは何のために作られ、使われているのだろう? 世界中の情報を整理してアクセスできるようにするというグーグルは、その先に何をめざしているのか。新検索エンジンやクラウド戦略で巻き返しをはかるマイクロソフトは、何を考えているのだろう。どこにも、そのことまでは書かれていないのだ――そんなことを考えたくなる、2つのコンピュータだった。



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