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遠藤雅伸氏が語る「ドルアーガの塔はE.T.から生まれた」

2009年06月22日 12時00分更新

文● 千葉英寿

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ゼビウスは「イデオン」、ドルアーガは「ET」から生まれた

―― 10代・20代の頃に出逢って、最も影響を受けたコンテンツには何がありましたか?

「強く影響を受けたものはない」と断言する遠藤氏。つねに最新のものに影響を受け続けているのだという

遠藤 僕は基本的に「強く影響を受けたものはない」と思っているんですね。時代によって色んなコンテンツを吸収したり、勉強したりしているので、あえて言うなら「最新のもの」に強く影響を受けつづけているわけです。

 その意味で、今最も印象の強いゲームが何かと言われると「Final Fantasy XIII」ということになりますし、映画ならJ.J.エイブラムス監督の「スター・トレック」が一番です。

 たとえばガンダムのゲームが200種類以上ある中で、最初の1本(「機動戦士Zガンダムホットスクランブル」1986年発売)は僕が手がけています。これがなぜ「ファーストではなくZだったのか」というと理由は簡単で、デザインがそのとき最も格好良かったからですよ。

公野 たしかにZはカッコいいですよね。以降のロボットものに影響を与えましたし。

遠藤 「宇宙戦艦ヤマト」だって、最初のセルで作ったアニメのヤマトより、最近のパチンコのCMに出てくるCG版のヤマトの方が何倍もカッコいいと思うんです。むちゃくちゃカッコいいじゃないですか、「イカす」んですよ。ディテールも含めて、最新の技術で、一生懸命作ったものがいいに決まっているじゃないですか。


―― 色んなコンテンツというと、どういったものを見てきたんでしょう?

遠藤 「全部見てきた」と言うことになりますかね。「ヤマト」も「ガンダム」も「マクロス」も全部見ていますし、「エヴァンゲリオン」さえ本放送を全話録画しているんです。そのたびに強い影響を受けてきたと。それはコンテンツを見るたびに「感動が上書きされていく」わけではなく、ただ純粋に「知識として更新されていく」という感覚ですね。

公野 だとすると、何がきっかけでゲームに身を投じたんですか?

遠藤 元々は「総合芸術」がやりたかったというのが出発点ですね。高校では演劇をやり、大学では映画を撮っていたんです。ただ当時は映画や演劇ではまだとても「食えない」時代だったんですね。そこで初めはテレビのフィルム部門に進もうと思ったのですが、それがうまくいかず、次にやってみようと思ったのがゲームでした。

ゲーム業界に身を投じたきっかけはという公野氏の質問に答え、遠藤氏は「総合芸術をやりたかった」とコメントした


―― それでゲームの世界に入り「ゼビウス」を手がけられているわけですよね。ゼビウスの世界観を創るとき、コンテンツから影響を受けたものはなかったんですか?

遠藤 あれは富野由悠季監督の「伝説巨神イデオン」*1から発想してますよ。「第6文明人という種族がいる。その末裔は異星人バッフ・クランであると同時に、地球人でもある」という設定がありますよね。その「種の起源は1つだった」とう考えをゼビウス全体の世界観に活かしているんですよ。

 たとえば「現代人と古代人で、同じはずの文化がどこで違ってくるのか」を表現しているのが、そこで使われるバッフ・クランの特殊な用語でしたよね。特に人名なんかは聞きなれないものが多かったじゃないですか、「アバデデ・グリマデ」とか、「クララ・キナ」とか。

公野 「ギジェ・ザラル」とか(笑)。

遠藤 そうです。そういった語感が持つ「異星」らしい雰囲気や、地球とは違う文化を持っているというイメージをゲームに活かしています。登場するメカの形式やネーミングもそうですし、全編に渡って赤と黒のカラーが入っている点なども同じです。

 そこで先ほどの話に戻ると、「敵と味方は基本的に同質である」というのも世界観に取り入れた点の1つです。その意味で、ゼビウスにも赤く点滅している部分があるんですが、それは「敵と味方に共通する何か」を表現しようと思って取り入れている部分ですね。

 それにアニメそのものが好きだったので、キャラクターのアニメーションを作るときにセルアニメを参考にしていたこともありました。4枚~8枚の画像を使ってアニメーションを作ったりもしていたんです。その意味でゼビウスは完全にイデオンへのオマージュです。


―― となると「影響を受けたコンテンツ」は、富野さんの作品になるわけですね。

遠藤 そうですね。それで言えば「ドルアーガの塔」は「E.T.」*2なんです。

公野 E.T.!? 「ドルアーガの塔」のいったいどの辺がE.T.なんですか?

遠藤 原作の中で、主人公エリオットのお兄ちゃんがゲームをやっていて、そこにエリオットがまぜてもらえないというシーンがあるんです。そこでお兄ちゃんが遊んでいたのがテーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(D&D)*3だったんですよね。

 (D&D内で)自分のキャラクターが欲しかったエリオットがE.T.に出逢ったとき、「キャラクターとして」E.T.を好きになるわけです。それを読んだとき「そこで遊ばれているRPGって一体何だ」と勉強をはじめて、完成したアクションRPGが「ドルアーガの塔」というわけです。

公野 と言うことで、遠藤さんが影響を受けたのは「富野さん」と「E.T.」という事になりました(笑)。

*1 伝説巨神イデオン: 日本サンライズ(現、サンライズ)制作による1980年~1981年に放送されたテレビアニメ。総監督は富野由悠季。宇宙に進出した地球人と異星人バッフ・クランが伝説の無限エネルギー「イデ」を巡って争うという物語。

*2E.T.: 1982年公開のアメリカのSF映画。監督・製作はスティーブン・スピルバーグ。10歳の少年、エリオットが地球に取り残された異星人と出会い、心を通わせるという物語。

*3 ダンジョンズ&ドラゴンズ: 米国のファンタジーテーブルトークRPG。作者はゲイリー・ガイギャックスとデイブ・アーンソン。世界初で最大のロールプレイングゲーム。

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