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Windows Server 2008 R2機能説明会レポート 第2弾

リモートデスクトップと仮想化で実現するR2のVDI

2009年06月19日 09時00分更新

文● 金子拓郎/TECH.ASCII.jp

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仮想デスクトップを配信するVDI

 Windows Server 2008 R2の目玉機能の1つに、そして「VDI(Virtual Desktop Infrastructure)」がある。これは、Windows Server 2008 R2に搭載されるHyper-V 2.0上でクライアントOSを実行し、RDPを使ってそのデスクトップをクライアントに配信するいわゆるデスクトップの仮想化技術だ。

 通常のリモートデスクトップサービスは、1つのOS(Windows Server)上で複数のユーザーが利用するアプリケーションを動作させる。1つのOSを複数のユーザーで共有するわけだ。これに対しVDIは、1ユーザーに1つのクライアントOS(仮想デスクトップ)が割り当てられ、各ユーザーはOSから自分専用として利用できる。

Hyper-V 2.0上で仮想マシン(仮想デスクトップ)を運用するVDI。OSやアプリケーション、データを社内ではなくサーバルーム内で集中管理できる

 VDIについては、ヴイエムウェアが自社のサーバ仮想化製品とセットになったソリューションを提供しているほか、Hyper-V 1.0にサードパーティ製ソフトウェアを組み合わせることで実現していた。これに対し、Windows Server 2008 R2にはVDI実現に必要な機能がすべて搭載され、他社製品を購入することなくVDI環境を構築できるようになる。マイクロソフトはVDIに力を入れているようで、プレス説明会の高添氏曰く「マイクロソフトがHyper-V 2.0で一番やりたかったのがVDI」とのことだった。

 VDIを利用する場合、①各ユーザーにそれぞれ専用の仮想デスクトップを割り当てるだけでなく、②Windows XPやWindows 7といった仮想マシンのプール(仮想プール)を用意し、複数のユーザーで利用する方法や、③ExcelやWordといったアプリケーション単位の仮想マシンを用意する(RemoteAPP)使い方なども可能だ。

3通りの方法があるVDIの使い方

 ユーザーのデスクトップ環境を完全にVDIに移行するのなら、使い方は一般的には①だろう。Active Directoryのユーザーのプロパティに仮想デスクトップをひも付ける設定が加わっており、これを利用する。ユーザーは自分の仮想デスクトップを自由に使い、カスタマイズできる。一方、複数のユーザーに統一した環境を提供するような場合は、②を使うとよいだろう。

 そして③のRemoteAPPは、Windows Server 2008のターミナルサービスから搭載された、アプリケーションのウィンドウだけをクライアントのデスクトップ上に表示する機能だ。通常は1つのOSに共存できない異なるバージョンのOfficeアプリケーション(Excel 2003と2007など)を使いたい場合は、この③を利用すれば可能になる。

Windows Vistaのデスクトップ上で本来共存できないExcel 2007とExcel 2003を利用する。Excel 2007はローカル(Windows Vista)上で、Excel 2003はWindows Server 2008のRemoteAPP上で動作している

 クライアントからVDIにアクセスするには、Windows XPやVistaではWebブラウザでサーバに接続し、利用する仮想デスクトップやアプリ(RemoteAPPの場合)を選択する「RD Webアクセス」を利用する。一方、Windows 7では、仮想デスクトップやアプリケーションがスタートメニューに登録される「RAD接続(RemoteApp and Desktop Connection)」が対応する。Webブラウザを起動してサーバに接続する手間がかからないため、よりシームレスにVDIの利用が可能になるだろう。

Webブラウザで利用するRD WebアクセスとRemoteAPPや仮想デスクトップがスタートメニューに登録されるRAD接続

RDP 7.0はどこまで使える?

 なお、6月10日の発表会で、従来のWindows VistaやXP向けのRDP7.0クライアントは提供されるのかという質問が出たが、解答は検討中とのことだった。

 Windows Server 2008にサーバ機能が搭載されたRDP 6.1に関しては、Windows Vista SP1とWindows XP SP3用にクライアントが提供されている。RDP 7.0についても、Windows Vista向けには提供されると思われる。しかし、Windows XPは、新機能が新たに提供される「メインストリームサポート」が2009年4月14日に終了し、現在はセキュリティパッチなどの限られたパッチの提供のみを行なう「延長サポート」の期間となっている(期間は2014年4月8日まで)。

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