アップルの開発者向けイベント「WWDC 2009」が12日に閉幕を迎えた。今回の基調講演については、ネットを見ている限りでは、iPhone 3G SとiPhone OS 3.0に注目が集まっていたようだ。
しかし、その裏に隠れた形になったMac OS X 10.6「Snow Leopard」も、負けず劣らず重要な発表である。そこで特集「WWDC 2009 総力レポート」の締めくくりとして、今回から3回に渡って「解体Snow Leopard」をお届けする。新しい「OS X」が何をもたらすのか、米国でWWDCに参加したMac系の開発者・千種氏に語ってもらった。
目次
ジョブス不在で「華のない」基調講演
WWDC 2009の基調講演は、アップルの上級副社長、フィル・シラーのプレゼンで始まった。例年、WWDCの基調講演を飾るCEO、スティーブ・ジョブスの姿はなかったが、シラーはジョブスと同様の喝采で迎えられた。
少なくとも開発者にとってみれば、方針がぶれない今のアップルは間違いなく「ジョブスの会社」であり、壇上にジョブスがいるかはどうかは、さしたる問題ではないということなのだろう。
とはいえ、同社の顔でもあるジョブスが不在のせいか、発表全体に「華」が少なかったのも確かだ。
例えば、冒頭に出された7500万人というOS X利用者数の発表。OS Xの利用者数がうなぎ登りであることが話されたが、いくらMacのシェアが増えているとはいえ、Macだけで2007年の3倍という利用者数を達成できるわけではない。
そう、この7500万人という数は、iPhoneユーザーも加算したものだ。マーケティング的な脚色とも取れるが、しかしアップルに取ってみれば、iPhone OSもMac OS Xも等しく「OS X」であり、決して間違いではない。
ただ、こういう発表も、ジョブスならば話し口ひとつで賛同と喝采を(そして「歪曲だ」という反発を)醸し出すようなエンターテイメントに仕立て上げたであろう。
しかし、シラーは、寸尺をかえてみせるというちょっとしたギミックでウケをとるものの、そうした物議をかもすような盛り上げではなく、あくまでさらりと軽い扱いで流してしまった。言ってることは同じなのに、盛り上がり方が違うのだ。
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