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WWDC 2009 総力レポート 第11回

iPhone 3.0、知っておきたい6つの「画期的」新機能

2009年06月13日 12時00分更新

文● 柴田文彦

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iPhone 3G Sのみ使える新機能

 まずはiPhone 3G Sのみが使えるiPhone 3.0の新機能から、「ビデオ撮影」「音声コントロール」「デジタルコンパス」の3つを見ていこう。なぜ、iPhone 3Gでは使えないのか、その辺も考察してみた。


ビデオ撮影

ビデオ撮影

30フレーム/VGAでのビデオ撮影に対応

 iPhone 3G Sの内蔵カメラは、CCDの解像度が200万画素から300万画素に向上したことに加えて、従来のパンフォーカスから光学的なオートフォーカスをサポートするようになった。

 画素数やフォーカス機構はハードウェアに固有のもので、旧機種に望むのは無理だとしても、動画の撮影や編集は、ソフトの更新によって旧機種でも対応できるようにも見える。

 しかし、恐らくスムーズに動画を撮影/記録するために必要なCPUの処理能力が、旧機種では不足しているのだろう。iPhone 3GのOSを3.0に更新しても、この機能は使えない。


音声コントロール

音声コントロール

音声コントロール

 音声によってiPhoneを操作する「音声コントロール」も、同じ理由で旧機種では使うことができない。この場合には、ハードウェアとして関与するのは内蔵のマイクロフォンだけ。その性能が新旧機種で大きく異なるとは考えられない。

 ソフトウェアの処理には、音声を認識し、その意味を理解し、足りない情報があれば聞き返してさらに細かな情報の音声入力をユーザーにうながす、という高度なものが要求される。そうした処理をリアルタイムで実現するためには、「旧機種の2倍」とうたうiPhone 3G Sの処理能力が必要なのだ。

 iPhone 3Gよりもずっと非力に見える初期のスマートフォンでも、電話帳の項目ごとにあらかじめ音声を吹き込んで記録し、それを読み上げることで電話をかけることができる機種があった。ただ、それは単なるパターン認識で、音声によるコマンドを理解しているわけではない。このレベルの機能なら、その気になればiPhone 3Gでも実現できるだろう。

 しかし、iPhone OS 3.0の音声コントロール機能はそれとはまったく次元が異なる。あらかじめ何の音声を記録する必要もなく、ユーザーの声を認識し、意味を理解するのだ。そう考えればiPhone 3G Sの処理能力が必要な理由も理解できる気がする。

 なお、基調講演では英語による音声コントロールのみがデモされたが、この機能はすでに複数言語に対応し、もちろん日本語もサポートしている。日本語によってiPhoneをコントロールする場面を想像すると、新機能の中でいちばんわくわくする機能と感じる人も多いのではないだろうか。


デジタルコンパス

デジタルコンパス

 iPhone 3G Sだけに備わった新しいハードウェアを必要とするもうひとつの新機能は「デジタルコンパス」だ。これはその名の通り東西南北を表示するもの。地図情報に沿った進行方向から擬似的に方位を割り出すのではなく、地磁気を検出するセンサーを元にしている。

 旧機種で同じことをしようとすれば、iPhone OS 3.0で利用可能になったDock端子に接続する外部アクセサリーを開発するしかない。方位の検出にはそれほどの処理能力は必要としないので、旧機種でもサポートできる可能性はある。

 ただ、そこまでする価値があるかどうかは、今後登場するコンパス機能を利用したアプリ次第だろう。標準アプリは、画面にコンパスを表示したり、地図表示の向きを補正したりするだけのものだったが、サードパーティからさまざまな応用例が出てくるはずだ。

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