あこがれのボーカルが目の前にいる!
さて、このPDX-Z10からどんな音が出力されるのか堪能したいところだが、やはり出来る限りいい環境で聞きたいところ。
そこで、パイオニア本社の試聴ルームにお邪魔して音を聴かせて頂いた。スピーカーはなんと「S-3EX」。同社の最高のオーディオ技術である「TAD(Technical Audio Devices)」のテクノロジーが投入されたトールボーイ型のスピーカーである。
PDX-Z10はこの大型スピーカー(余談だがS-3EXの重量は1本あたり48kg!)を苦もなくドライブし、すばらしい音を聞かせてくれた。驚いたのはその再現力の高さで、歌い手の息づかいまでリアルに感じられる。目をつぶれば目の前で自分のためだけに歌ってくれていると錯覚できるほどの臨場感だ。
また、音の立ち上がりや立ち下がりのレスポンスがよく、ギターなど音の数が多い楽器でも1つ1つの音が鮮明に聞こえてくる。高品質なスピーカーももちろん関係していると思われるが、そのスピーカーをしっかり鳴らせるところが、PDX-Z10の性能の高さの証明だろう。
また、このときiPodを使って圧縮音源を高音質化するA.S.Rのオンとオフを切り替えて、その効果の程を試してみたが、これがまた全然違う! A.S.R.をオンにすると個々の音の輪郭がクッキリと鮮明になり、音場もグッと広がりを見せる。是が非でもオンにしておきたい機能である。
ノンパッケージメディアとピュアオーディオをつなぐ架け橋
このすばらしい環境で音楽を聴いて改めて実感したのは、いい音で音楽を聴くことの大切さである。やはりいい音であればあるほど、それだけ“作り手の意志”が伝わってくるように思う。
ただ、ピュアオーディオの世界と圧縮音源、言い換えればノンパッケージメディアの世界の乖離は予想以上に大きい。確かに音質を考えれば非圧縮音源のパッケージメディアを使うべきだと思うが、一方で圧縮音源によって生み出された利便性に慣れてしまうと、パッケージメディアはやはり不便である。
ノンパッケージメディアの利便性をピュアオーディオの世界で堪能できるPDX-Z10は、こうしてなかなか相容れなかった2つの世界をつなげる架け橋ではないだろうか。iPodに慣れたリスナーが、これまでと同じ音楽ソースを高音質で聴きたいと考えたとき、PDX-Z10というアップグレードパスが用意された意義は非常に大きい。
■Amazon.co.jpで購入
この連載の記事
-
第95回
AV
映像を見ながらコミュニケーションを楽しむ「RZタグラー」 -
第94回
AV
録画番組の視聴スタイルを変えるAndroid端末「SV-MV100」 -
第93回
AV
HD動画もスムーズ!? 「iPad 2」のAV機能をチェック -
第92回
AV
ガツンとくる重低音ヘッドフォン 気になる3機種をチェック! -
第91回
AV
電車の中でも気軽に作曲! iPhone用シーケンサを試す -
第90回
AV
カメラ機能を愉快に使う! 特選Android用カメラアプリ -
第89回
AV
iPad版「Garage Band」で気軽に音楽制作! -
第88回
AV
iOS 4.3に組み込まれたホームシェアリングを試す! -
第87回
AV
編集機能が大幅強化! 生まれ変わった「TMPGEnc」 -
第86回
AV
Androidスマホは万能動画プレーヤーになれるのか!? -
第85回
AV
iPhoneより便利? Androidの音楽再生環境をチェック! - この連載の一覧へ