次に、AIRとFlexの開発方法や開発時の共通点、および違いを比較します。Flex経験者の方や、興味がある方は参考にしてください。
AIRとFlex開発方法の比較――選択肢が多い、AIRの開発環境
すでに見たように、AIRは「デスクトップRIA」の実行環境と開発インフラです。作成する人のスキルごとに作成方法が選択できます。アドビ製品としては、次のような充実した環境が提供されています。
- Dreamweaverを使用してHTML/Ajaxベースのアプリケーションとインストーラの作成が行なえる
- Flash オーサリングツールを使用してAIRアプリケーションとインストーラの作成が行なえる
- Flexコンパイラを使用してAIRアプリケーションをビルドできる。この場合、MXMLを使用してレイアウトを効率よく作成でき、Flex Builderでマウス操作による直感的な画面作成やテストも行なえる
一方、Flexアプリケーションの開発では、Flex Builderが主な開発ツールとなり、AjaxやFlashオーサリングツールによるFlexアプリケーション開発はできません。
Flex BuilderによるAIR開発手順
Flex Builderを使用する場合、AIRアプリケーションとFlexアプリケーションの開発方法は大変近いものになります。
次の画面は、Flex Builder 3のプロジェクト(アプリケーションを作成する前に作成する管理単位)作成画面ですが、「アプリケーションの種類」という選択欄があります。
- Webアプリケーション(Flash Playerで実行)
- デスクトップアプリケーション(Adobe AIRで実行)
前者がFlexアプリケーションで、後者がAIRアプリケーションになります。どちらを選択しても共通の開発方法と開発言語により、アプリケーションを作成できます。このように、AIRとFlexはどちらもFlex Builderで開発し、テストを行なうことができます。
その他の大きな共通点として、AIR、FlexどちらもFlexコンパイラが使用されます。これはコマンドラインによる作成時もFlex Builderによる作成時も同様です。
最後に
今回はRIAの基本概念、デスクトップRIAというAIRの特徴とアドバンテージをご紹介しました。AIRはデスクトップRIAであるため、Webサーバーを構築しなくても手軽にパソコン上に環境を構築してアプリケーションを動かすことができます。次回はAIRアプリケーションの実行と開発を行なうために必要な環境の作成方法をご紹介いたします。
■次回のトピック
- AIRランタイムの入手とインストール
- AIR SDKの入手とインストール
- SDKコマンドの実行とSDK版Hello AIRアプリケーションの作成
著者:宮田 亮氏
Webシステム開発株式会社代表取締役 開発・教育エンジニア。アドビ認定Flex/AIR/Flashデベロッパー、同Flex/AIR/Flashインストラクター。20年を超えるIT開発・教育・マネジメントキャリアを持ち、Flex、AIR、Java、C/C++、Oracle、MySQL、.NET等を駆使したシステム開発経験多数。同社サイトでは、Flex/AIRの技術情報やサンプルコードの公開している。技術者養成の専門スクールIT塾(Adobe認定トレーニングセンター)でFlex/AIRセミナーも随時開講。著書は「Flex 3プログラミング入門」(秀和システム)、「AIRプログラミング入門」(秀和システム)。