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WWDC 2009 総力レポート 第5回

Snow Leopardも出没! WWDC 2009基調講演【前編】

2009年06月09日 15時20分更新

文● 宮本朱美、写真●伊藤有/週刊アスキー編集部

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マルチコア対応を加速させるGCD

 Snow Leopardの新技術にも触れている。最大の変化はOSの64bit対応だ。Snow Leopardでは、メインメモリーが最大16TBまで扱えるようになり、1クロックサイクルで最大2倍の命令を処理できるようになるという。

Snow Leopardでは、Finder、Mail、Safari、 iCal、iChatなど、OSに付属するほとんどのアプリケーションが64bitコードで書かれているという

 また、個々のアプリも含めた、Mac OS X全体をマルチコアCPUに対応させる「GCD」(Grand Central Dispatch)という技術が加わっている。

 CPUのクロック周波数が毎年倍に向上して、ソフトの処理が高速化されたというのは、もはや過去の話。CPUクロック周波数が頭打ちになってマルチコアCPUを採用するようになった現在、高速化には、各アプリが「スレッド」に対応する必要がある──。基調講演ではそう語られた。

 スレッドは簡単に言えば、ひとつのプログラムを実行する際に細かく分けて、CPUで同時に効率よく処理させる方法だ。各開発者が自分のアプリをスレッドに対応させてマルチコアCPUをフルに活用できるようになれば、処理が速くなる。ただ、一方でスレッドのプログラミングは難しくて負担が大きいので、開発者はマルチコア対応に消極的だ。

 そこで、開発の負担を軽減するためにGCDをSnow Leopardに搭載。スレッドの処理をアプリではなくOSで実行するようにして、マルチコアCPUのパワーを最大限まで引き出す。

プログラマーの開発の負担を軽減する「GCD(Grand Central Dispatch)」という新ツールも搭載

 またグラフィックアクセラレーターを利用することで、描画以外の処理を自動的に負担させる「OpenCL」を紹介した(関連記事)。

OpenCLは、アップルだけでなく、インテルやIBM、富士通、東芝、テキサスインスツルメンツ、AMD、NVIDIA、サムスン、エレクトリックアーツ、ノキアなどの企業が賛同している

 Snow Leopardの最後には、マイクロソフトのExchangeサーバー対応を解説した。予定や会議の出欠はカレンダーアプリの「iCal」で、タスクやメモはメールソフトの「Mail」で行なう。設定はシンプルで、Exchangeサーバーのユーザー名とパスワードを一度入力するだけで、各アプリが自動的に設定を完了するそうだ。

Snow Leopardでは、マイクロソフトのExchangeサーバーとやり取りして、予定やタスク、メモをMac OS Xの標準アプリで利用可能になる。

 Snow Leopardの価格は129ドルで、既存のLeopardユーザーはわずか29ドルでアップグレードできると発表すると、会場からは大きな拍手が起こった。発売は今年9月の予定で、開発者は今日からファイナルバージョンのSnow Leopardをダウンロードできる。

※中編はこちら


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