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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第76回

学部丸ごとiPhoneユーザーでキャンパスはどうなる?

2009年06月09日 16時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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最新のプラットホームに入ることの重要性

 今回のiPhone導入によって育てたい学生像について、青山学院大学社会情報学部の宮治 裕准教授にうかがった。

 「我々の学部の学生に、情報感度を持たせたいと思っています。これがおもしろいのだ、ということを評価できる学生に育てたいのです。iPhoneに限らず、触らないとわからない、触れば見えてくるモノがたくさんあります。それはiPhoneアプリを開発したい一部の学生では不十分で、学部のコミュニティに渡して、その目を養ってもらいたいと思っています」(宮治氏)

 ここで、iPhoneでなければいけなかった理由を、飯島氏は次のように説明する。

「社会情報学部は英語教育にも力を入れ、グローバル競争に対応できる人材を育てています。iモード型のケータイは日本では成功しましたが、グローバル市場では次世代型のスマートフォンが中心です。競争力あるカタチでモバイルネット社会に慣れ親しんで欲しい点を考えると、App Storeの存在はとても大きかった。」(飯島氏)

 iPhoneのApp Storeは世界中を相手にいきなりビジネスを始められる場であり、日本のケータイの環境とは違うグローバルな競争の場。世界と競合しながら最新のビジネスやアイディアに触れ、またそれを考える場がポケットにある環境は、非常にアドバンテージになるとの指摘だった。

 飯島氏は、iPhoneアプリを開発するためだけの授業はやらないとしている。技術者よりはトータルプロデュースできる学生を育てたいとの思いがある。一方で、有志も含めて、「青学のイメージを向上させるような、ちょっと小洒落ていてユーザビリティーに優れたアプリケーションを生み出せれば」と宮治氏は語る。

 日本のケータイを持つことを否定するわけではないが、グローバルでデジタルに強い人材を育てようとするとき、身近なキャンパスという世間で最新のスマートフォンを核としたプラットホームに触れることに重要性を感じている点がよく伝わってくる。

筆者紹介──松村太郎


ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET


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