週刊 PC＆周辺機器レビュー 第9回

BD＋18.4型液晶の9万円ネットトップの実力は

BD再生に適したワイド液晶ディスプレー

左側面にトレイ式のBDコンボドライブを搭載する

　本機は光学ドライブとして、BDドライブ（DVDスーパーマルチドライブ機能付き）を左側面に搭載する。もちろんBDビデオも再生できる。再生ソフトとしては、「Power DVD」をプリインストールしている。

　液晶ディスプレーは18.4型ワイドで、解像度は1680×945ドットという珍しいサイズ。アスペクト比は16：9になっている。液晶ディスプレーの全面にアクリルパネルを採用した光沢タイプで、黒が引き締まった映像を楽しめる。色域はそれほど広くなく、緑の発色は弱い。フルスクリーン表示時の精細さはさすがで、DVDビデオよりも美しい映像を楽しめる。

　内蔵スピーカーの出力は1W×2で、音質は“とりあえず音が出る”といった程度。BDビデオタイトルの視聴には向いていない。どちらにせよ、中途半端なスピーカーではBDビデオのサウンドを堪能することは無理な相談なので、外付けスピーカーかヘッドフォンで楽しもう。

グラフィック以外は上々の性能

　元がネットトップのシリーズではあるものの、本機の性能は価格のわりに上々だ。Windows VistaのWindowsエクスペリエンスインデックスでは、CPUが4.5、メモリーが4.6、HDDが5.4という結果になった。グラフィックス機能はチップセット内蔵の「Radeon HD 3200」なので、2.6と低い結果になっている。3Dゲームなどを軽快に動かすのは厳しいだろう。とはいえ、BDビデオの再生には問題のない性能を持っている。HDDの速度も、連続読み出し61.04MB/秒、連続書き込みが55.10MB/秒と平均以上なので、通常の作業は快適にこなせるだろう。

インターフェースの配置がやや使いにくい

　キーボードはテンキー付きのフルサイズタイプで、マウスは3ボタンの光学式。どちらもUSB接続で、高級感はあまりない。本体とディスプレーは高級感が演出されているのに、マッチしない感じだ。

　インターフェース類は、USB×5にGigabit Ethernet対応の有線LAN、DVI-I出力を搭載する。メモリーカードリーダー（SD/SDHCメモリーカードやxDピクチャーカードに対応）とウェブカメラ、マイクも備えている。DVI出力のおかげで、大画面液晶テレビにつないで使うことも可能だが、アナログRGB出力がないので、アナログ入力のみの古いディスプレーやプロジェクターにつなげられないのはネックか。IEEE 1394も搭載しない。

　USB端子は右側面に2つ、背面に3つと数は備えるものの、前面にひとつもないのが使いにくい。右側面を普段使いにするために、マウスとキーボードのケーブルは背面のコネクタを利用することになるだろう。

左側面にはBDドライブを搭載

右側面には音声入出力端子とUSB端子を2つ備える

セカンドPCに最適なコストパフォーマンス

　ウェブブラウジングや映画鑑賞、オフィスソフトなどを主に使うなら、本機はメインマシンとしても使える能力を持つ。リビングや自室のセカンドマシンにも適当だろう。デザインもいいので、インテリアを邪魔しない。

　ノートパソコンと比べると、大画面の液晶ディスプレーとBDドライブを搭載しながら、実売価格が9万円程度というコストパフォーマンスの高さは魅力だ。18.4型の液晶ディスプレーを備えた一体型パソコンとしては、断トツに安い。スペックは高いとは言えないが、メモリーを3GB搭載していて、Vistaも軽々動く。ネットブックより高性能な、家で使う10万円以下のパソコンを探しているなら、要チェックの製品である。

AVA8325EBD
CPU	Athlon X2 3250e(1.5GHz)
メモリー	3GB
グラフィックス	AMD M780Gチップセット内蔵(Radeon HD 3200)
ディスプレー	18.4型ワイド 1680×945ドット
HDD	320GB
光学ドライブ	BDコンボドライブ
無線通信機能	IEEE 802.11b/g
サイズ	幅413.7×奥行き15×高さ181mm（ディスプレー部のみ）
OS	Windows Vista Home Premium SP1
価格	8万9800円

筆者紹介─柳谷智宣

1972年生まれ。Netbookからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。現在使っているノートPCは、東芝のSS RXとMac。とはいえ、1年以上前の製品なので、買い換えを思案中。日経パソコンオンラインで「ビジネスPCテストルーム」、週刊SPA!で「デジペディア」を連載するほか、PCやIT関連の特集や連載、単行本を多数手がける。近著に「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」（講談社）。

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