コラボレーション関連機能も豊富
ここまでは1人でMindManager 8を使うシーンをメインに紹介してきたが、次にチーム作業のシーンを見ていこう。まず“使える”のが、「指定フォルダ内の最新のファイル一覧を取得する」機能だ。プロジェクトごとに共有ファイルサーバー内に関連ファイルを集めて仕事を進めることは一般的になったが、MindManager 8では、マップ内でその内容をトラッキングし、必要に応じて同じ画面内で素早く参照できる。
筆者は離れたクライアントとのファイルのやり取りにDropBoxを利用しているが、そのフォルダをMindManagerにリンクさせておくことで、新しいファイルが投入されたときに、見逃すことが少なくなった。メールや電話での進捗報告よりもリアルタイムでの状況確認ができる方法が増えたとも言えるのではないだろうか。
従来のマインドマッピングのソフトでは、いわば何もないところからアイデアやトピックスを捻り出すことが求められた。画面分割によるWebやOfficeソフトの閲覧機能や、共有ファイル監視機能など、ここまで見てきたようにMindManager 8では、「MindManagerというソフトの外にある情報」を最小限の手間で参照し、それらを生み出すことができる可能性も秘めている。
ネットワークを使った
マップの同時参照もサポート
MindManager 8は、ネットワークを使ったマップそのものの共有機能も充実している。「MindManager Connect」(1万6800円)は別途契約が必要なASPサービスだが、複数のメンバーが同時にマップを参照し、編集できる。また、「MindManager Web」を使えば、MindManagerがインストールされていない遠隔地のPCでも、ブラウザを使ってサーバー上のマップにアクセスし、基本的な編集が可能だ。
また、マップのインタラクティブな状態を維持してPDF形式で簡単に他のユーザーと共有できるのも、注目しておくべきポイントだ。これまでもフリーのビューアーは用意されていた。しかしビューアーを用意しなければならないとなると、「どうやって見ればいいのか分らなかったので、見てないよ」といったトラブルが起きる可能性は否定できない。PDFであれば、そうした問題はないだろう。
結論:少々お高い。
しかしそのコストは生産性UPで回収できる。
さて、実際に使ってみてその利点を体感できたMindManager 8だが、ダウンロード版が4万1500円(税込み)と少々お値段がはるソフトでもある。正直、マインドマップを作るだけであれば、フリーのものが数多く用意されているし、WordやExcel、あるいはデザイナーにとってのPhotoshopのようにそれがなければ仕事にならない、という種類のソフトではない。
しかし、もしあなたが何かプロジェクトを推進する立場にあり、「1日が何が何だか分らないうちに終わっていて、積み残しの案件に押しつぶされそうになる」といった経験の持ち主であるならば、MindManagerを導入する事による生産性の向上というバリューは、そのコストを上回ることを理解できるはずだ。
MindJetでは、21日間利用できる体験版も用意している。まずは、そちらでその「効果」を確認してから、購入を検討するのもおすすめだ。精度の高い航海図は船の運航をより安全で快適なものにする。MindManagerは難しい航海を任されたビジネスパーソンの心強いパートナーになるだろう。
著者紹介:松本淳
ネットベンチャー・出版社・広告代理店等を経て、現在、東京大学大学院情報学環修士課程在籍。ネットコミュニティやデジタルコンテンツのビジネス展開を研究しながら、デジタル方面の取材・コラム執筆、映像コンテンツのプロデュース支援活動を行なっている。米PMI認定PMP・デジタルハリウッド大学院デジタルコンテンツマネジメント修士。