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「ドクロ柄のベビー用品」で成功したECサイトの秘訣 (3/3)

2009年06月04日 14時00分更新

文●三浦たまみ

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スリリングに続く“次なる一手”を打つ

 Happy!hughugの最新商品は、2008年1月に発売した「アクティブキャリー」。赤ちゃんを抱っこするスリングではなく、おんぶする紐という点で、用途が異なります。スリングをプッシュする同店ですが、藤原さんはおんぶ紐の需要も感じていました。

 「厚着をする冬場にコートなどを着た状態で赤ちゃんを抱っこすると、思いの外かさばり視界が狭くなって怖い、冬はおんぶしたいと感じるお母さんは多いんです」

 実はかつて、同店はおんぶ紐も販売していましたが、改良の必要性を感じたこと、スリング製作に集中したかったことなどから販売を中止した経緯があります。スリングがメジャーな赤ちゃんグッズになった今だからこそ、次なる戦略のひとつとして、おんぶ紐の販売は絶好のタイミングだと考えたのです。しかし冬物商品は、本来であれば秋口から販売すべき。1月販売は出遅れた感は否めません。

 「発売を延期したんです。2006年頃から試作品を作り始め、翌秋にはなんとしても間に合わせようとしましたが、どうしても日本繊維製品品質技術センターにおける強度試験で納得のいく数値が得られなかったんです。最適な発売のタイミングは重要ですが、そこにこだわるあまり、安全性がおろそかになったら本末転倒ですからね」

 実際に発売してみるとタイミングがずれたとはいえ、反応は上々。手応えを感じたので、今年は秋口から大々的に宣伝していきたいと計画中です。

 顧客の生の声を聞き、商品開発に生かす。市場投入の適切なタイミングを見極め、商品の認知度を上げる――。こうして市場における商材認知度が上がってきたら、それに応じて、ネットショップのサイトそのものの見せ方やデザインも、適宜変更していく必要があります。次回はこのあたりの施策のポイントに迫ります。


――ネットショップのエキスパートが斬る!――

お客様の“生の声”を聞こう

 新商品発売のタイミングは、たとえばスリングであれば、季節、流行、お母さんのワークスタイルの変化などを加味しながら決めていきます。お客様が、商品に何を求めているのか、その購買目的を探りながら、今後発売すべき商品の傾向を探っていきましょう。

 新商品を考案する際は、ネットショップにおけるお客様からの問い合わせや質問、クレームなども大切な情報源のひとつですが、より大切なのは、お客様と直接触れ合う機会を用意し、生の声を聞くこと。これに勝るものはありません。ダーウィンの進化論と同じく、顧客ニーズを的確につかみ、柔軟な姿勢で変わり続けることのできるネットショップのみが生き残っていくのだと思います。


森本繁生:有料会員制協業事業フォーラム「オンラインショップマスターズクラブ」運営。ブログ「森本繁生のEC道



協力:佐川フィナンシャル株式会社(http://www.sagawa-fin.co.jp/

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