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「さあ、年末商戦へ最速ダッシュ!」 (5/9)

2007年09月20日 00時00分更新

文●EC応援隊編集部

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編集部 戦略を立てて実際にお店の運営をしていくうえで、ほかにとり入れたい点や注意すべき点、つまずきがちな点がありましたら教えてください。

田嶋 当社のクライアントで年商1億を超しているところは、どこも2000年前後のかなり早い段階で、一気に売り上げが伸びましたね。共通している点は、これも3つあると思うんです。

 1つは、売上額はちろん、アクセス数や転換率、リピート率など計数管理を常に徹底していること。2つめは前述の計数管理からいつ投資すればいいか、人・物・金の投資タイミングを見計らっていること。3つめは消費者心理を読んでいること。例えば、メルマガでも「このひとことで買わせる」という言葉のノリのよさまで日々研究しています。

 また、店長日記でも店長の人柄を伝える、ジョークまじりの、くすっと笑わせるコピーがあります。買ってもらうお客様の「心」へ、「ことば」で上手にアピールする工夫をしています。

前田 先ほど広告の話をしましたが、通販広告の特性についても意識しておいたほうがいいと思います。私は、雑誌広告や新聞広告などのマス広告と、WEB広告の違いは、前者は広告と売り場が同じなのに対して、後者は両方が着地ページにある点だと考えています。雑誌や新聞の広告は、見て購入を決めたら電話して買うだけ。テレビ通販も同じですね。

 一方、ネットの場合は、バナーや検索連動型広告をクリックして、その先の着地ページに売り場があります。つまり、広告と売り場が別だから、広告クリエイティブとランディングページのクリエイティブとの連動性が大事なんです。そこを踏まえてきちんとクリエイティブを作らないと、コンバージョンレートは上がっていきません。

前田 哲郎さん(アンダス株式会社代表取締役社長)
前田 哲郎さん(アンダス株式会社代表取締役社長)

編集部 そのためにはどのような点が重要でしょうか。

前田 大切なのは、商品があって、商品のターゲットがいて、ウェブというチャネルのなかで、SEOなどのテクニックを使ってそれらを結びつけること。そこを忘れることが多いんです。

 先ほど、クリエイティブの重要性を話しましたけど、お客さんに対して最も訴求力があるのは「相対営業」(※4)だと思うんですよ。ところが、それができないのがネット通販なので、できる範囲の中で何をどうやるかという意識をもって取り組むことが大切でしょう。

 私が感じるのは、いろんな方法を試しても、効果検証をしない方が多いということです。いろんなサービスや手法を人からいいと聞いて取り組むのですが、なんとなくよかったなあ、で終わってしまうんですよね。

 本当に売っていこうと思ったら、実行したことに対してどれくらいの効果があったか、費用対効果を調べて次に生かす必要があると思います。よければもっとやる、よくなかったらもうやらない。

編集部 その都度、課題を見つけることが有効なのですね。

 検証の中で伸びしろや、新しい課題が見つかりますから。その繰り返しが必要だと思います。

 私は同じ1億円を売るにしても、”戦略的な売り方”と、”水増し的な売り方”の2パターンがあると考えています。前者はより長期にわたって売っていくために売れる仕組みを作る売り方です。後者は、目先の売り上げを追って、一過性の売上を追う売り方です。

 スケールアップするには一度作った売上を上げる仕組みがどのくらい長期に渡って活用できるかが重要です。新しい手法や広告に飛びついても一過性の売上にしか結びつかない場合が多く、翌年も同じ売上を立てるには同じ苦労が発生します。売上を構成する一つ一つのパーツの寿命を意識するセンスが必要です。

編集部 そのセンスはどのようにしたら身につけられるものでしょう?

 もしかしたら経営者としての資質に関わる部分なのかもしれません。

 それから、先ほどの干物屋さんの例でも話しましたが、“事業”として取り組む人と、“商売”として取り組む人ではやることが違います。事業で月商1000万円をめざすのはそのあともスケールアップをしてきたい人。1億円は通過点として考えられますから、長期的な視点が必要です。商売であれば、理想的なビジネスモデルを組めればそれだけでも達成できる。そこが天井になりますけどね。

 事業なのか、商売なのかを考えて、人、モノ、カネを整えていくわけです。

編集部 目標が最終的なゴールなのか、それとも小目標なのかをしっかりと認識しておかなければ、最適な戦略は立てられないということですね。今日はありがとうございました。


※4 相対営業……ユーザーと直接対話して行う営業

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