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すっきりわかった!仮想化技術 第6回

製品例からみるストレージ仮想化

サーバだけじゃない!ストレージ仮想化の重要性

2009年06月08日 09時00分更新

文● 阿部恵史(ネットアップ株式会社 ソリューション マーケティング部 部長)

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リソース利用効率の向上

 一般的なDAS環境では、サーバやアプリケーションごとに専用ストレージがあり、柔軟性に欠けている。各サーバごとに将来のデータ増加を見込んでオーバープロビジョニングである場合が多く、全体としてかなり非効率となっている。これにより、容量の浪費や全体的な利用率の低下につながっている。

 また、一部のシステムでストレージ容量が足りなくなった場合、他のシステムのストレージリソースを融通することができない。そのため物理リソースの追加が必要になるが、それにはダウンタイムが生じ、可用性の低下を招く。

 しかし、複数のRAIDグループをまとめて共有リソースプール化する「アグリゲート」機能と必要に応じて物理リソースを追加する「シンプロビジョニング」を含む仮想ボリュームにより、業界平均で40%といわれるストレージ利用効率を最大65%にまで引き上げることも可能となる(図4)。

図4 統合によりストレージの利用効率を上げ、消費電力を削減

 利用効率の向上は、初期導入費用だけでなく、導入後の費用削減にもつながる。ストレージの削減はすなわち、HDD台数の削減、ディスクアレイの削減、設置スペースの削減、電力消費量の削減、および冷却能力の削減につながり、データセンターのグリーンIT化にも貢献できる。

重複排除機能

 利用効率向上に貢献する最新技術として注目されているのが、内容が重複するデータを削除することでストレージの容量を節約する「重複排除機能(De-Duplication)」である。この重複排除機能は、物理環境においても有効な機能であるが、特にVMwareのようなサーバ仮想化、あるいはデスクトップ仮想化環境において大きな効果を発揮する。

 一般に重複排除は、セカンダリやアーカイブ用途のストレージに限定された追加機能であるケースが多いが、ネットアップの重複排除機能は、バックアップやアーカイブデータだけでなく、プライマリストレージでも使用できる。つまり、Data ONTAPに統合された機能として、用途に制限されないプラットフォーム標準の機能となるよう実装している。

 仮想サーバや仮想デスクトップ用のOSイメージでは、その大部分が同一のデータであることも少なくない。このような環境では、重複排除機能を利用することで利用効率を向上できる。

リソース利用における高い柔軟性

 利用効率の向上だけでなく、リソース利用の柔軟性の向上には、物理リソースのプール化が必須となる。ネットアップの製品では、OSであるData ONTAPが、すべての仮想化機能および統合の基盤となる。プール化はネットアップ純正の製品に加え、他社製品との混在環境における仮想化を実現する「仮想化アプライアンス」のVシリーズでも利用可能となっている。

 同一アーキテクチャを利用しているため、同じソフトウェアと管理ツールを使用することができる。リソースプールは、ミッションクリティカルなアプリケーション、インフラアプリケーション、セカンダリ階層、およびアーカイブなど、すべてのデータに必要な物理リソースを取り込み、抽象化することができる。

 また単一コントローラ、単一OSでFC-SAN、iSCSI、NAS(NFSおよびCIFS)のすべてを利用可能だ。そのため、同一コントローラ配下の共有リソースプールから生成されたあるボリュームにはFC-SAN接続でアクセスし、別のボリュームにはファイルシステムとしてNFSプロトコル経由でアクセスするといったことができる。

 また仮想クローニングによる高い柔軟性は、従来のストレージシステムでは不可能だった、開発、テスト、あるいはパッチ適用確認のためのステージング環境などの、迅速な構築を可能にする。こうした環境では、データやVMの物理コピーの作成・廃棄がひんぱんに繰り返し行なわれる。従来の手法だと、これは非常に時間のかかる作業で、また、多くのディスクスペースを必要とした。

 この高速仮想クローニングの機能を使用することで、テスト、開発、および仮想サーバの導入作業を大幅に高速化することができる。

(次ページ、「実際の製品と機能」に続く)


 

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