バッテリー駆動時間と付属ソフト
バッテリー駆動時間は、LOOX Mが公称約2.4時間、dynabook UXは約4時間となっている(いずれもJEITA測定法1.0による)。どちらも、標準で3セルのリチウムイオンバッテリーを搭載し、電力容量はLOOX Mが設計26640mWh(フル充電時23044mWh、YbInfoでの実測値)、dynabook UXが24300mWh(フル充電時256601mWh、同上)である。
最近はバッテリーの延命のために、フル充電値を設計容量より下げたり、使い切って過放電しないよう早めに放電を終えることもあって、その違いがカタログスペックの差となっているのだろう。電力消費に関わるスペック面での違いとしては、CPUクロックの差やBluetoothの有無、液晶ディスプレーのバックライトなどがある。省電力機能を使わない場合は、おそらくどちらも同じぐらいになると考えられる。
ただし、LOOX MはWindows XPが持つ電源制御機能だけで制御されているが、dynabook UXには東芝ノートで標準的な「東芝省電力」ユーティリティーが付属する。こうしたソフトでの省電力機能の詳細設定が可能かどうかは、バッテリー使用時間の差となって測定結果に大きく影響する。実用面でも、LOOX Mとdynabook UXのバッテリー駆動時間の大きな差となるだろう。
またLOOX Mは、CPU負荷や内部温度にあまり関係なく、常時空冷ファンが回転しており、これも電力を消費している。ファンの風切音も高周波で、気になるほどに大きく、図書館などで使うのに躊躇しそうだ。それに比べてdynabook UXは、通常利用時は空冷ファンはほとんど回らない、またCPU負荷を高めても、空冷ファンの回転は短時間であり、間欠的に小さな音がするといった程度だ。放熱と静音性といった目に見えない部分での努力を高く買いたい。
dynabook UXで特筆すべき点は、もうひとつある。本体の振動や衝撃を感知すると、HDDのヘッドを退避させて破損を避ける「HDDプロテクション」を搭載している。そのほかにも、画面表示の拡大/縮小が可能な「Smooth View」機能など、パソコンを使いやすくするユーティリティーが充実している。
一方のLOOX Mには、国語辞典、英和辞典などの電子辞書が内蔵されている。インターネットに接続できない状況で、ちょっとした調べものをするときに重宝するだろう。
HDDは互角 ユーザーによる交換は難しい
最後に、HDD関係もチェックしておこう。両機種とも、底面カバーを開けてアクセスできるのはメモリースロットのみで、ユーザーによるHDD交換は難しそうだ。
デバイスマネージャーで確認したところ、LOOX MはHDDに「FUJITSU MHZ2160BH G2」を、dynabook UXは「TOSHIBA MK1655GSX」を内蔵していた。どちらも回転数は5400rpmで、8MBバッファ内蔵の160GB HDDである。性能差は感じられない。簡単なベンチマークテストをしてみても、誤差の範囲内だった。
どちらの機種も、HDDからのリカバリー(出荷時状態への復元)が可能であり、それ用の領域をHDD上に確保している。また、両者ともHDDをC/Dドライブの2パーティションに分けているが、容量の使い分けは異なる。LOOX MはCが50GBで、Dが90GB。dynabook UXはCが135GBで、Dが10GBとなっている。
★
国内大手メーカーによる2製品を比べてみたのだが、カタログスペックだけでは見えにくい各社のこだわりは、やはり手にとってみないと分からない。特に使い勝手では、同級の他社製品と比べてもdynabook UXが圧倒的に優れている。しかし、LOOX Mのビビッドなルビーレッドモデルは、店頭でも注目されているという。ネットブックを、道具と考えて使いつくすならdynabook UX、ファッションの一部としてライフスタイルに取り入れるならLOOX Mということだろうか?
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