Urchinとの違いでAnalyticsの設計思想に迫る
「Google Analyticsはもともと『Urchin』という別のソフトで、グーグルがアーチン社を買収してGoogle Analyticsに名前を変えたんですよね? グーグルが作ったわけではない製品に、グーグルの設計思想なんてあるのかなぁ」――よくご存じですね。ところが、UrchinとGoogle Analyticsでは、まるでメニュー体系が異なるのです。この違いこそGoogle Analyticsの設計思想です。まずはグーグルが買収した当時の最新版「Urchin 5」のメニューを見てみましょう。
Urchin 5のメニューには、「トラフィック」のようにGoogle Analyticsにもある項目もありますが、「トラフィック」カテゴリーには「転送バイト数グラフ」のように、Google Analyticsに存在しない項目も含まれます。
「でも、バージョンが上がってメニュー体系に手が加えられることは珍しくないのでは? 現在のメニューと異なるからといって、設計思想というのは大げさすぎる気がしますが」――はい、疑問はごもっともです。では、Urchin 5の次のバージョンで現行製品の「Urchin 6」のメニューも見てみましょう。
公式の発表はないので推測ですが、グーグルはUrchin 5という製品を元にGoogle Analyticsを開発したのではなく、Urchinのデータ収集と解析機能、つまり必要な分だけにWebサーバーのログをそぎ落とし、素早く解析するというというエンジン部分だけを元に開発したようです。2008年に登場したUrchin 6は、Google Analytics よりも後の製品ですが、Urchin 5ともGoogle Analyticsとも異なるメニュー体系になっており、Google AnalyticsがUrchinとは別系統のソフトウェアであると分かります。
「つまり、Google Analyticsのメニューはグーグルの設計思想を反映している、ということ?」――そのとおりでしょう。Google Analyticsの専門家は、メニューの並び順に込められた意味を理解しているから、迷うことなく目的の機能にたどり着けるのです。Google Analyticsのメニューの並び順の意図を理解することが、Google Analyticsそのものの理解につながるのです。