初音ミクなどのVOCALOIDソフトを使用したオリジナルソングを投稿し、ニコニコ動画を舞台に活躍する音楽の作り手たち。プロデューサー(P)と呼ばれる職人たちの中には、すでに多くのファンを獲得し、カリスマ的な人気を誇るものも多い。
その1人がアゴアニキ氏だ。彼が手がけた「サルでもわかる」「方向音痴」「よっこらせっくす」などの楽曲はいずれも10万再生を超える「ボーカロイド殿堂入り」の人気曲だ。
中でも今年の2月に発表した「ダブルラリアット」は166万再生という頭抜けた1曲。ニコニコ動画のユーザーたちが、こぞって曲に合わせて踊ったり、歌ったり、ピアノで弾いたりといった様々な動画を投稿するというブームを呼んだ。
明るい曲に、感情に訴える切ない歌詞が合わさった、バンドサウンドの音楽世界がその特徴。実は「AGOBOT」というロックバンドで、ベーシストとしても活動しているというアゴアニキ氏に、一味違う作品作りの裏側を聞いた。
投稿のきっかけは「ゲームのレベルがカンストしたこと」
―― まず基本的なところからなんですが、ニコニコ動画そのものに出逢ったのはいつ頃だったんでしょう?
アゴアニキ ニコニコ動画(β)が始まった時から参加していました。ヒキコモリ全開の頃だったので一発で夢中になりました。ずっとMAD動画を見漁ってましたね。
IKZO*1はもちろん「レッツゴー! 陰陽師」の時から盛り上がってましたし、初期で言うとゴムさんの「おっくせんまん!」に完全にハマってほれ込んでました。
―― ボーカロイド職人「アゴアニキ」として活動をはじめたのは昨年5月の「HAKOBAKO PLAYER」からですよね。きっかけは何だったんでしょう?
アゴアニキ ずっとバンド活動をやっていたのですが、ドラマー不在でそのまま活動中止になっちゃったんですよね。その直後に仕事もなくなり、完全なニートになったんです。そのままオンラインゲームにどっぷりはまり込んで現実逃避しまくってました。
その後、やっていたゲームでレベルがカンスト(カウンターストップ)してしまったことで、すごい無常感があって。「何かやらなくちゃ!」って焦りで自分の楽曲を鏡音リン・レンでアップした流れです。……書いてみるとなんかひどいですね(笑)。
IKZO:2008年4月、ニコニコ動画で吉幾三の楽曲からラップ部分をリミックスするというブームが起きた。その際に一連の動画が「IKZO」としてシリーズ化されている(関連記事)
