このページの本文へ

アクセス解析でわかるのは、「顧客」だけ?(その2)

2008年08月06日 09時00分更新

文●竹内 亮介/株式会社環 取締役 アクセス解析 シニアコンサルタント

  • この記事をはてなブックマークに追加
本文印刷

 こんにちは。竹内亮介です。
今回は、前回の続きである「アクセス解析で課題を解決する方法」の残りを説明します。

 前回(第5回)は、課題を解決する方法として「欲しい商品がネットショップにあるのにユーザーには見つけられない」という課題がショップにある場合に、アクセス解析で発見する方法を1つ説明しました。

 では、残りの3つについてこれから説明していきます。

1. 購入しようと思ったら、その先に進めない

 これを見て「そんな事があるの?」と思うオーナーもいるのではないでしょうか。

 ネットショップのオーナーであれば、ユーザーに購買してもらうのが目的のため、商品をカートに入れてもらうために目立たせたり、誘導したりしているでしょう。

 ただ、ネットショップにおけるユーザーの動きというのは全く予測がつきません。

 たとえば、あるネットショップでは「購入する(カートに入れる)」というボタンの色を変更し、位置を変えただけでカートに遷移する割合が3~5%伸びた例も実際にあります。

 この場合、訪問者は「商品ページ」で閲覧を止めてしまう事が多くなります。
アクセス解析の『出口ページ(離脱ページ)』を利用しましょう。商品ページの件数が極端に多い場合、カートへのリンクが分かりづらかったり、場合によってはリンクが上手く動いていないかもしれません(※)。

ユーザーは現在、ネットショップを閲覧する際はInternetExplorer(以下、IE)以外のブラウザ(FireFoxなど)を利用しているケースがあります。その際に、IEでは正常に稼動しても、Firefoxでは×という事も見られます。商品ページでの離脱が多い場合、『利用環境(PC環境)分析』を見て、ユーザーの利用するブラウザをチェックし、対応しているかどうかを確認しましょう。

2. 購入手続きが面倒

 カートまで到達したユーザーがネットショップで何を行うかというと・・・、情報の入力です。もしかしたら、この部分まで来れば申込は固いだろうと思っているショップオーナーもいるかもしれません。

 実は、違います。実際には、カートまで到達したユーザーのうち、購入を行ってくれる割合は20%程度しかいません。よくないショップの場合、10%に満たない事もあります。

 では、その理由は何かというと1つには「購入手続きの面倒くささ」があります。ショップオーナーさんにとって、購入者の情報は確かに貴重です。そのため、色々な情報を聞いて、それを元にサービスを提供したいという気持ちも分かります。

 ただ、ユーザーにとって1項目でも記載項目が増えると、手間は増えてしまいます。

 この場合は、アクセス解析の『経路解析(パス分析)』を見ると明らかです。
入力フォームの開始から終了までの間に何人(何%)のユーザーが離脱しているかを見ることで、ユーザーが「どこで止めたか」が分かります。

 たとえば、入力フォームでの離脱が多い際に、入力項目を見直してみましょう。購入の際に、「本当に必要な」情報に絞る事で、ユーザーは入力の手間が減ります。
また、複数回購入が考えられる場合、会員制として入力手続きを省くといったことも有効です。この場合、システムが対応しているかといった点は鍵となってきますが、検討してみてもよいでしょう。

3. 支払手段や配送手段が合っていない

 フォームでの離脱のもう1点は、「支払手段や配送手段に自分の希望するものがない」場合です。例えば、クレジットカードを持っていないのに、コンビニ決済や代引きがないといったケースが当てはまります。

 実際に、ユーザーが購入しなかった理由として「決済手段」と回答したユーザーが10%近くいるといった調査結果もあります(価格比較サイト「coneco.net」より)

 その際にも、同様に『経路解析(パス分析)』で分かります。
決済手段や配送手段の選択で止めてしまったユーザーの割合が高い場合、決済や配送の手段を増やしていくとよいかもしれません。

 今回の3つについては、理由を見てみると至ってシンプルで当たり前の事です。ただ、闇雲にショップを改善しようとすると、

●ネットショップを修正する
●ショッピングカート部分を改修する
●決済、配送手段を見直す

といった形でかなり大変です。

 その場合は、まず「どこが最もボトルネックとなっているか」をアクセス解析で確かめましょう。その上で、課題を解決していく事が最も効果的に儲ける近道となります。

【アクセス解析 用語解説】

■ 出口ページ(離脱ページ)
ネットショップの中で、ユーザーが最後に見たページの数をページ毎に確認できます。出口ページ(離脱ページ)の多いページは、ユーザーが不満を感じているページであり、注意してみていく事が必要です。

■ 利用環境(PC環境)分析
ネットショップを訪れたユーザーが、何を利用しているかを確認できます。主に、OS・ブラウザ・解像度といった項目がメインとなります。
通常、頻繁に利用する事はありませんが、ネットショップを改修したりする際には、ユーザーが「何を利用しているか」に合せてショップを構築していくとユーザーに優しいショップとなります。

■ 経路解析(パス分析)
ユーザーがあるページを起点として、どのような経路を辿っているかが確認できます。特に、ショップ内で利用して欲しい動線(行動)をチェックしたりする事が可能です。

著者プロフィール

名前 竹内 亮介
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社環
サイト http://www.kan-net.com/

この連載の記事

一覧へ

WebProfessional 新着記事