こんにちは。竹内亮介です。
今回からは、アクセス解析のメインである「解析データを使って、売上げに繋げる」ところを説明します。
まず始めに、ネットショップのオーナーにとって必要なアクセス解析のデータは何でしょう。
●検索キーワード?
●外部リンク元?
確かに、必要ですが、最初に抑えるべき項目は違います。それは、下記の2点です。
●ネットショップを訪問した人数(訪問者数)
●訪問者のうち、どの位の人が購入してくれたか(購入率)
言ってしまうと、「なーんだ」と思われるかもしれません。
が、実際に私がネットショップオーナー向けにアクセス解析のセミナーを行った際に、導入していても、数値が「分からない」という人が見られます。逆に、この2つをきちんと把握しないでアクセス解析を利用しようとすると大変なことになります。
たとえば、実際の例で考えてみましょう。
訪問者数 | 購入率 | |
店舗A | 100人 | 10% |
店舗B | 10,000人 | 0.1% |
2つの店舗は、売上は毎月100件、100万円と同様です。ただ、その内容は大きく異なります。
Aの場合は、売上はある程度安定している。けれど、売上を伸ばすには、今以上にお客さんを呼ばなければならない。そのためには、今以上に宣伝を行って、多くの人に店を知ってもらう必要がある。
Bの場合は、もっと「買ってくれる」優良顧客を集める事で、今よりも売上を上げる事が出来る。そのために、もっと優良顧客に対してリーチしていく必要がある。
こう見ると、2つの店舗で行うべき事は大きく異なります。
「訪問者数」と「購入率」を知らないとどうなるか?
前の例でもう一度考えて見ましょう。
店舗A:お客さんは少ないけれど、固定客が多い店舗
この店舗は、「訪問者数」は少ないが、「購入率」が高い店舗となります。
様々なショップを私は見てきましたが、多くは購入率が1~3%の間にあるのが一般的です。そのため、それよりも大きい、5%や8%といった割合であれば、購入率が高い店舗といえるでしょう。
購入率が高い店舗の場合、「今来ているお客様の購入頻度や率を高める」のは大変困難です。すでにお客様は満足して購入しているため、それ以上のサービスを行っても購入率がさらに上がっていくとは限りません。
その場合、今まで行っていない広告などを実施して、新しいお客様を開拓していくほうが効果的です。
店舗B:お客さんはたくさん来るけれど、ひやかしも多い店舗
この店舗は、「訪問者数」は多いけれど、「購入率」が低い店舗となります。
訪問者数については、ショップの規模感などもありますので、どの位あれば多いとは一概には言えません。ただ、購入率が0.1%などといった割合の場合、低いといえるでしょう。
購入率が低い場合、「お客様の満足度を高める」または「集めているお客様が購入する可能性が低い」と考えられます。特に、懸賞やプレゼントなどでお客様を集める場合、後者である可能性もあります。
そのため、懸賞などを行った際には、その後の購入率がどう変化するかを確認したほうがよいでしょう。
「訪問者数」と「購入率」を把握する際のコツ
様々なネットショップやオーナーを見てきて、「訪問者数」と「購入率」を把握して、アクセス解析を活用するためにいくつか、行うべきコツがあります。
(1)必ず同一のツールで取得し続ける
アクセス解析を利用しているオーナーの中には、複数の解析ツールを利用したりしている方が見受けられます。これは、ショッピングカートに付いている機能と併用するというケースも同様です。
また、広告を行った際には、クリック数といった形で媒体社から提供を受ける場合もあります。
ただ、確認するだけならよいですが、アクセス解析の活用という視点で考えた場合、複数を併用するのはあまりお勧めできません。さらに、複数の数値を見比べる人もいますが、止めたほうがよいでしょう。
◆取得方法が違うので、数値が異なってしまう
前回の「アクセス解析ツールの選び方」でも説明したように、アクセス解析には様々な取得方法があります。その取得方法によって、実は数値も変わってきます。
ただ、アクセス解析は「数値を見る」よりも「数値の変化や効果を知る」事が重要です。そのため、違うツールを利用すると、数値が違うため変化を確認することが出来なくなってしまいます。
◆手間が掛かる
複数のツールを使うという事は、複数の画面を見て、確認しなければならず、その分、手間が掛かります。
アクセス解析を続ける際の最も大きな障害は「面倒くささ」です。手間を感じてしまうと、どうしても面倒くさくなってしまい、結果として途中で挫折してしまいます。
(2)定期的に行う(特に、広告など行った際は必ず)
アクセス解析を行っているオーナーの中には、広告やメルマガなど行った時のみ見ているという方もいます。
ただ、広告やメルマガは行ったその日だけが効果が見られるわけではありません。ネットショップでは、メルマガを定期的に行っていくうちに、日々の訪問者数が増加したりといった効果も期待できます。
実際に私が相談を受けたネットショップのオーナーは、徐々に訪問者数が減っているために困っていました。そこで、アクセス解析で数ヶ月のデータを見てみると、メルマガを配信しなくなったのを境に、訪問者数が落ちていました。
ネットショップオーナーにメルマガを止めた理由を聞いてみると、「その日は伸びるが、その後は効果が見られない」という印象を受けていたそうです。メルマガが効果があると他人から聞いて行っていたが、即効性が感じられなかったという事でした。
このケースは、再びメルマガを定期的に配信することでまた徐々に訪問者数が増えていきましたが、これもアクセス解析を継続的に行っていれば、訪問者数が徐々に伸びている事に気づいたはずです。
「訪問者数」と「購入率」はショップの状態を測る指標
「訪問者数」と「購入率」はショップで何が原因で売上が上がらないのかを測ることが出来る指標です。
この2つのどちらに原因があるのかを考えて、その上で、原因の詳細を探るために検索キーワードや外部リンク元といったデータが有効となってきます。
まずは、ショップの「訪問者数」と「購入率」を定期的に測定してみましょう。どこを直していけばショップの売上がよくなるかが見えてくるはずです。
【アクセス解析 用語解説】
■ 訪問者数
ショップを訪問した人の数です。「ユニークアクセス数」「セッション数」といった用語と同一の意味を表します。
ショップの場合、広告やメルマガなどで訪問者数を増やすのはもちろんですが、リピータを確保する事で、日々の訪問者数を徐々に増やす事が成功のポイントとなります。
■ 購入率
ショップを訪問した人の中で、何人が購入に至ったかの割合です。「購入者数÷訪問者数」で求める事ができます。
ネットショップの場合、1~3%程度の購入率が一般的といわれています。
著者プロフィール

名前 | 竹内 亮介 | |
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会社 | 株式会社環 | |
サイト | http://www.kan-net.com/ |