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アクセスログ解析②

2007年05月16日 09時00分更新

権 成俊/株式会社ゴンウェブコンサルティング 代表取締役

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 アクセスログ解析によるSEOの効果検証には様々な視点がありますが、前回“キーワード別訪問者数”の視点からの検証をご紹介いたしました。今回は、“キーワード別の平均ページビュー(PV)”“キーワード別転換率”による効果検証について、取り上げていきます。前回の“キーワード別訪問者数”の解析では、上位表示すなわちSEOの効果検証という意味合いが強かったですが、今回の“キーワード別の平均PV”“キーワード別転換率(購買率)”の解析は、対策キーワードの選定は的確だったかどうかを検証するもので、最終的な成果である売上げを評価します。言い換えれば、SEMの視点での評価です。

キーワード別の平均ページビュー(PV)

 平均PVとは、サイトを訪問してきたユーザーが、サイト内のページを1人当り何ページ閲覧したかという数値です。サイト訪問者は、そのサイトに興味があるほど、たくさんのページを見る傾向があるので、PVの数値を見ることで、ユーザーのサイトに対する興味の度合いを判断できます。

 アクセスログ解析ツールの中でもGoogle analyticsなどでは、このPVの値を検索キーワードごとに調べることができます。“キーワード別の平均PV”は、任意のキーワードで検索エンジンから訪問してきたユーザーのPVを表しています。検索エンジンからの訪問者はその検索キーワードによってサイトに対する興味の度合いが大きく異なり、対策キーワードのPVを見れば、そのキーワードで訪問してきたユーザーが、実際にサイト内容に興味を持ってくれたかどうかが判断できます。

 ユーザーの検索キーワード別にPVが異なるというのを意外に思うかもしれません。サイトを訪問してしまえばそこで商品を買うかどうかはサイトのデザインやコンテンツ次第、と思われる方も多いようです。しかし実際はそのユーザーがそのとき何を求めているかによって、商品購入の可能性は大きく異なり、どんなに多くのアクセスを獲得しても、訪問者のニーズとマッチしていなければ購入率は極端に低くなります。特に、同じユーザーでもそのとき何を求めて検索したか、つまりそのタイミング、そのシーンで大きく購入の可能性が異なります。インターネットユーザーは求める情報を探して次々とサイトを移動してゆきます。興味のある商品でも、探しているときに見なければ購入はしないのです。そのため、ターゲットを訪問者のモデルとして考えるのではなく、検索シーンをモデル化してターゲットと考えるほうが妥当なのです。

 以上のように、売れるサイトであるかどうかは訪問者のニーズに大きく依存し、それが検索キーワードと大きく関連しています。キーワードの選び方によってすでに売れるかどうかは概ね決まっているのです。そのために検索キーワード毎のPV値を確認し、対策キーワードの選定が的確だったか検証を行うのです。

 具体的なPVの評価の仕方ですが、PVが多いほど興味が強いというのが最も簡単な見方ですが、サイトの構造やページ数によっても最適なPVは異なります。もともと5ページしか無いサイトであればPV5が最大値となりますし(実際は同じページを更新して再読込みすることで複数回評価するものもあります。)、商品ページに行き着くまでに階層が10階層もあるようなサイトであれば商品ページを一つ確認するために10PV必要になります。逆にフラットな構造をしたサイトで2階層目から商品ページであれば、TOPページ+商品ページを9ページ見ることで10PVになっているのかもしれません。その場合はいろいろな商品に強い興味を持っていることが想像できます。このように、PVの絶対値の大小を議論する場合は、そのサイトにとって見込みの高い訪問者がたどる一般的なシナリオを想像し、議論しなければなりません。

 しかし、相対的な評価は比較的容易です。サイトのデザインやコンテンツを更新することでPVが上がったとすれば関心が増したと考えられます。キーワード別のPVの評価も同じように、PVが高いキーワードはその検索キーワードからの検索結果からの訪問者はサイトの内容に対する興味が強く、多くの訪問者が購買に結びついていることが想像されます。逆に、対策キーワードでのPVが著しく低い場合は、ユーザーの興味とサイト内容に乖離がある可能性があります。その場合は対策キーワードを再考する必要があります。

【アクセスログ解析ツールの画面一例】

キーワード別転換率(購買率)

 キーワードによっては、多くの人がサイトを訪問してくれても、購買にまでは結びつかないものもあります。ECサイトの場合、最終的な目的は売上・利益の拡大ですから、購買に結びつくキーワードで対策を実施しなければ意味がありません。キーワード有効度調査の段階では、キーワードとサイト内容の一致度から購買率の仮説を立てて、対策キーワードを選定しましたが、これだけではまだ不十分です。アクセスログ解析によって、“キーワード別の転換率”=“購買率”を検証する必要があります。そうしなければ、「訪問者が多いため満足していたが、実際には売上にはつながっていなかった」という事態に陥ってしまうかもしれません。

 前回のコラムの“訪問率”の項目と同じように、“購買率”の値によっては、訪問者数の少ないキーワードの方が購買数の多くなる逆転現象が起こることもあります。1位に表示されたときに、訪問者数が10,000人で購買率が0.5%のキーワードAと、訪問者数が2,000人で購買率が5%のキーワードBがあったとします。購買者数を比較すると、キーワードAが50人なのに対し、キーワードBは100人になり、逆転現象が起こります。対策キーワードと他のキーワードとの“購買率”を比較して、対策を継続するのか、別キーワードで対策し直すのか判断してください。

訪問者数 購買率 購買者数
キーワードA 10,000 0.5% 50
キーワードB 2,000 5% 100

 このように、“キーワード別のPV”や“キーワード別転換率(購買率)”を確認することで、選定したキーワードでの対策は、本当に有効度が高いものかどうかが検証できます。選定した段階では、有効度が高いと考えていたキーワードでも、いざ対策をして上位表示に成功してみると、実質的な成果につながっていないこともあります。その場合は、改めてキーワードの選定から考え直し、より大きな成果達成を目指しましょう。
 SEOは上位表示に成功すれば、それで終わりというものではありません。SEOによる利益を最大化させるためには、仮説・実施・検証のサイクルを繰り返し行うことが必要です。効果的な対策キーワードの仮説を立て、対策を実施したら、必ず効果検証を行ってください。効果検証により、対策の結果が予想と異なっていれば、その結果から再度仮説を立て直し、一連の流れを繰り返していきます。このサイクルを行っていくことで、SEOによる利益の最大化が実現できるでしょう。

著者プロフィール

権 成俊
名前 権 成俊(ごん なるとし) info[アットマーク]gonweb.co.jp
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社ゴンウェブコンサルティング
サイト http://www.gonweb.co.jp/

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