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検索連動型広告向きのキーワードとSEO向きのキーワード

2007年11月12日 09時00分更新

文●権 成俊/株式会社ゴンウェブコンサルティング 代表取締役、李 泰成/株式会社ゴンウェブコンサルティング SEMチームリーダー

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 前回のコラムで検索連動型広告とSEOの併用において、費用対効果を重視するのであればキーワード別に検索連動型広告かSEOのどちらかの手法を選択するという方針をとることを説明しました。それではキーワードごとに手法を選択するための基準はなんでしょうか。それはSEOや検索連動型広告の競合度です。

A. SEO競合度が高く、検索連動型広告競合度も高い場合

 この場合はSEOでも検索連動型広告でも高いコストがかかります。しかし、あえてチャレンジするなら相対的に費用対効果を高めやすいSEOです。検索連動型広告では大変なコストがかかるでしょう。
 しかし、現実的には上位表示がほぼ不可能なキーワードもあります。たとえば、金融、人材、冠婚葬祭などに関する人気キーワードではYahoo!検索TOP10のすべてのページが専門業者のSEOサービスを導入しており、今さら新規にサイトを製作して同等のSEOを実装するには数千万円のコストがかかるでしょう。このように競合が多く、SEOを行ってもおそらく太刀打ちできないことが分かっているキーワードは事前にターゲットから外しておくほうが無難です。なんとか上位表示ができたとしても、訪問率が低かったり、購買率が低くなる場合が多いものです。

B. SEO競合度が低く、検索連動型広告競合度が高い場合

 この場合は無論コストがかからないSEOを選びましょう
 SEOで競合が少ないキーワードとは、サイトやページのテーマとなりにくいキーワードです。サイトのテーマとは、タイトルやh1タグに記載されやすいキーワードのことです。たとえば、“かに”はテーマにとして扱われやすいですが、“いか”はテーマとして扱われにくいキーワードです。実際に検索してみると、“かに”の検索結果では検索連動型広告も多いですが、自然検索の結果にYahoo!登録ページが多く出現します。またタイトルやh1タグ、メタタグに“かに”を含むページも多く、“かに”というキーワードで見込み客を誘導したがっているサイトオーナーが多いことが分かります。同様に“いか”というキーワードでの検索結果を見ると、検索連動型広告は多くありますが、自然検索の結果で上位に出るページはYahoo!登録をしているページが少ないことが分かります。また詳しく見ると、タイトルやh1タグなどSEOの重要要素でしっかりと“いか”を扱っているページは少なく、これなら基本的なSEOを行うだけで十分に上位表示ができそうです。しかし、広告の競合は多いですから、“いか”と検索するユーザーを検索連動型広告で獲得するにはそれなりのコストがかかってしまいます。このようなキーワードは比較的SEO向きでしょう。
 多くのキーワードから出来るだけたくさんこのようなタイプのキーワードを探し、SEOで対応することが王道です。

C. SEO競合度が高く、検索連動型広告競合度が低い場合

 もちろん、検索連動型広告で対策すべきです
 「SEOの競合が多いキーワードと検索連動型広告の競合が多いキーワードは同じではないか?」と思う方が多いと思いますが、実際はそうではありません。とくに、検索数の少ないニッチなキーワードではその傾向が顕著です。

 たとえば、“モンゴウイカ”というキーワードで検索すると、下記のように、検索連動型広告は一切表示されませんが、自然検索にヒットするページはたくさん表示されます。Yahoo!登録ページは少ないのでSEOでも対応できそうですが、このような場合はページを作ってSEOを行う手間を考えると、最低価格で広告を出稿できる検索連動型広告型広告を選ぶほうがベターです。自然検索よりもむしろ目立つかもしれません。対策の結果の訪問数や購買率が高ければ新たにページを作ってSEOを行いましょう。
 このように、極端に絞り込んだキーワードに対しては広告出稿者は少ないですが、自然検索ではほとんどの場合何らかの結果が表示されます。そうなると、絞り込んだキーワードは検索連動型広告で対策するほうが手間がかからず現実的でしょう。
 それ以外でもページのテーマとして設定しにくいキーワードや、そのキーワードで検索するユーザーが本当に自社サイトの見込み客になりうるかどうか怪しい時もページを作るよりもテストマーケティングの意味合いでまずは検索連動型広告を出稿してみるという使い方もあります。

D. SEO競合度が低く、検索連動型広告競合度も低い場合

 どちらの手法でも対応できそうです
 しかし、たくさんの訪問者が予想される場合は広告だとコストが膨らみます。ページをつくれば簡単なSEOだけで容易に上位表示ができますが(indexさせる苦労はありますが)、検索回数が極端に少ないキーワードに対していちいちページを作ってSEOを行うのも費用対効果に見合わない場合があります。どちらがよいかコストから判断しますが、テスト的に検索連動型広告からトライするのが無難な場合が多いです。

 このように、キーワードによって適した手法を選択すべきですが、たくさんのキーワードに対して検討していくのは手間がかかります。それを現実的に運用するために、またキーワード有効度調査を活用します。

著者プロフィール

名前 権 成俊(ごん なるとし、左)、李 泰成(り やすなり、右) info[アットマーク]gonweb.co.jp
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社ゴンウェブコンサルティング
サイト http://www.gonweb.co.jp/

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