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マスコミに持ち込む「プレスリリース」をつくろう(4) ―書き方のコツ

2006年10月18日 09時00分更新

文●朝日奈 ゆか/株式会社ユンブル 代表取締役

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 皆さん、いつもご愛読ありがとうございます。
 読者の方から、感想や励まし、また質問のメールをいただいています。今回はその質問にお答えしながら、プレスリリースの文章作成のコツを伝授しましょう。

プレスリリースは「文字情報」が命。オシャレにこだわらない

京都市中京区の上村俊也さんからの質問
「とても興味深く読ませていただいています。わたしは京都の有名観光地でブティックとアジア雑貨ショップを営んでおり、3年前からネットで通販を開始しました。また近々、実店舗の3店舗目を出店するので、これを機に広く宣伝したいと考えています。
 プレスリリースの存在は、某有名和菓子店の社長から聞いていたのですが、わたしなどにできるものではないと思い込んでいました。このサイトとであって、どう作ればいいのかを具体的に見ることができて、わたしでもできそうな気になってまいりました。ただ、わたしも社員もレイアウトソフトに長けたものがおらず、きれいなレイアウトを作る自信がありません。どのソフトを使えばいいのでしょうか?プロの方はどうされているのでしょうか?」

 作成する気持ちになられたそうで、うれしいお便りでした! プレスリリースは、コツさえつかめば誰でも作れるものです。「マスコミ宛の資料を作らねばならない」と思うと腰が引ける方も多いようですが、それでは何もはじまりません。自分のお店をたくさんの人に知ってもらうには、広告を出すか、プレスリリースをつくってマスコミにとりあげてもらうか、方法は限られています。

 さて、ご質問の件ですが、プレスリリースの作成には、ワードなどのワープロソフトで十分です。クオークエクスプレスやイラストレーターなど、レイアウトソフトを使う必要はありません。ワープロソフトに文章を書き込み、文字を装飾して写真など図版を配置し、整えればいいだけです。第6回で紹介した「ビーズが咲いたよ.com」の事例も、ワードで作成していますし、プロもたいてい、ワープロソフトを使っています。

 というのも、プレスリリースとは、絵や表で見せるプレゼン資料とは違い、基本的に「文章で記者に訴えるもの」だからです。写真や表、グラフなどの資料はあくまで情報が伝わりやすいように参考に添えるもので、文章できちんと、あなたのお店、商品、情報を伝えるように心がけてください。

 マスコミ、特にファッション誌や女性誌の編集者宛に出すものであれば、オシャレに作らないと…と考えがちですが、記者や編集者もそれはまったく期待していません。洗練されたデザインのものを作るのではなく、きちんと情報が整理されていて、見やすく、わかりやすい資料がいちばんです。

 と、こう言うと、今度は「文章に自信がない」と思われる方もいらっしゃるでしょう。そこで、次のご質問にお答えします(笑)。

文章は「中学1年生にわかるようなことば」で書く

 札幌市中央区の鴨川翔子さんからの質問
「毎回、プリントアウトしてファイルしています。第10回目ぐらいまで更新されれば、作ってみようと決めています!」。
 鴨川さんは、北海道内で飲食店を5店舗展開されており、北海道産の海産物やみやげ物のネット販売も行なっています。10回目まで待たずとも、どうか思い立ったら吉日、一日も早く、作成にとりかかってください。
「当社には文章が上手な者がおりません。プレスリリースを書く上で、文章を上手に書くコツはありますか?
という質問です。

 よく聞かれます、この質問(笑)。
プレスリリースに記す文章は流ちょうを目指すのではなく、「中学1年生にわかる平易なことばで書く」ことを意識してください。受け取った人が、何かで調べないと理解できないような業界用語や技術的な詳細の羅列は避けて、記者が理解しやすいように情報を簡潔に伝えましょう。業界用語が必要な場合は、必ず、注釈をつけてください。

 できれば、実際に周囲の中高生をつかまえて、理解できるかを聞いてみるといいですね。手厳しくチェックしてもらいましょう(笑)。文章の「てにをは」や誤字脱字などのチェックには、最低3人に読んでもらって、わかりにくいところがないかなど推敲を重ねてください。面倒がらず、恥ずかしがらず、誰かに読んでもらって素直に意見を聞いてみることです。とくに、お店のオーナーが書く場合、自社商品への思いが強くて、記者から見ると熱が入りすぎていたり、ずれた内容になっていることがよくあります。2~3人の目を通しながら冷静にチェックすることで、ずいぶんよくなります。

 ちなみに、当社に届くプレスリリースは大企業からのものが多く、広報部の教育されたスタッフの方々が文章を作成してマスコミに配布していますが、じつは流ちょうで洗練された文章を読んだことがありません。「てにをは」など、はちゃめちゃなものもたくさんあります。どうぞ安心してプレスリリース作成にチャレンジしてください。

 繰り返しますが、記者から見た良質なプレスリリースとは、「文章が流ちょうでレイアウトが美しい」ものではなく、「どんなニュースがどのように展開されているのかがわかりやすいもの」です。
 次回も引き続き、プレスリリースの書き方のコツをお伝えします。

著者プロフィール

名前 朝日奈 ゆか info_email_01[アットマーク]yumble.com
※著者に直接問い合わせをする際は、お名前、会社名、サイトURLなどを明記してください。
会社 株式会社ユンブル
サイト http://www.yumble.com/

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