デジタル社会ではオープン化だけが信頼のもと
4回続けてデジタルコミュニケーションについて考えてきました。今回はその締めです。
前回でも問いかけましたが、デジタルツールとは本来、人と人を結びつけることを目的に情報構築と共有、交換の利便性を追求し、その情報をオープンにしてヒトの営みをさらに発展させていくべきものです。ところが、現実はどうでしょうか。多種多様な形に発展したデジタルツールはその本来の役割を担っているでしょうか。
扱う人間がオープンとは反対方向に、デジタルを使って自分を正体不明のものにすることに専念してしまいました。そして、生きる責任から逃れようとする流れが起こり、すでに止められない潮流になっています。
インターネットもメールコミュニケーションもいまや、世界を広げるのではなく、世界を閉ざす方向に走っています。みなさんのコミュニケーションの方法はどうですか。どのように実感していますか。
少し前まで、18歳~25歳の若い世代の憧れ、貯蓄の目的は、「海外旅行」でした。が、ここ5年、この世代は海外旅行離れが著しいといわれています。海外に行かなくても、Webサイトでは無数に海外の情報を得ることができて、あたかも海外にいるような仮想体験ができる。それに、世界中のブランド品からアブナイものまで、たいていは自分の部屋のパソコンからクリックひとつで手に入れることができる。なぜにわざわざお金と労力を使って海外まで行かなくてはいけないのか――と、若者は旅行に行かなくなったというのです。
本来、デジタルの役割とはこういう考え方のま逆にあるものでした。海外のあらゆる場所から、いつもの自分の位置にアクセスして情報を送受信し、生活の基盤を確保する。ネットがあれば世界のどこにでも旅立っていける。これが自分の世界を広げる方法であり、発展的な使い方であったはず。
ものごとは本来、自分で動いてはじめて広がっていくものです。デジタル社会だからこそ、自分をオープンにすることでしか信頼を得ることができないのです。
仮想店舗こそ、オープンなコミュニケーションで生きるべき
このような社会を反省し、今、世間はユビキタスを訴えています。前回まで数回にわたって紹介したデジタル機器はユビキタスを現実にしようとするものです。学校やショップなど人が交わる空間で、先生と生徒、教室と子ども、店と客、ワイン好きとレストランというつながりをデジタルで推進することで、ネットワークを強く濃く築いて人のチカラをより発揮させることにその目的があります。
いっぽうで、「情報を大きく共有する場」の重要性はいつしか必然性になり、近い将来、共有の場は学校やパブリックスペースのほとんどを占めるようになることでしょう。子どもたちがデジタルツールを使って自分の情報を公表しあう。彼らが生きる活力を得ることができるよう、コミュニケーションを大きく活気づけるようにもっていくのが我々の仕事です。
みなさんのECショップの考えかた、運営方法はいかがでしょうか。
Webサイト上に店舗を持つ場合、実質的に顧客とのコミュニケーションから逃れようとする運営法に流れてしまった場合、その経営は間違いです。
ECショップという仮想店舗で、自己を見せないままの運営はいずれ破綻します。店自体が仮想ですから、お客さんからすれば、そもそも存在そのものが隠れているわけです。その時点で信頼はゼロですから、運営する人間が本当の自己を隠していては、何も生まれません。
仮想店舗こそ、お客さんや業者とのコミュニケーションに積極的に動き、活発にアプローチをして、コミュニケーションというものに強く大きな意識を持って生きていくべきです。リアルタイムに情報をオープンにできるように運営するべきです。
みなさんのECショップ、Webサイトは、スタッフやカオが見えないお客さんのチカラを発揮するように運営されていますか。ECショップを運営することそのもののチカラがどこに発揮されているのか。それらのことを常に考え、検証し、行動に移すチカラがあるかどうか。そのチカラこそが「売れるWebサイト編集力」の根幹なのです。
著者プロフィール
名前 | 朝日奈 ゆか | info_email_01[アットマーク]yumble.com |
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