ひとり歩きしてやがて商品のもとに帰るキャッチコピー
キャッチコピーとは、本文や写真に目を向けてもらうためのけん引役ですが、その真価は、サイトを訪れたお客さんがその商品を買ってくれるかどうか。その点につきます。これがキャッチコピーのキャッチコピーたるゆえんです。
どうすればそんなキャッチコピーが書けるのでしょうか。
魅力あるキャッチコピーとは、商品を紹介するフリをしつつ、商品とは別に独立した魅力を持ってひとり立ちしています。優れた広告のキャッチコピーはみな、キャッチコピーだけがひとり歩きをしてメディアを席巻し、その結果、多くの人の耳と記憶に残るものになっていきますね。ことばがことばとしての魅力を持つ。これが魅力的なキャッチコピーです。
人は魅力のにおいをかぎつけると、その正体を知りたくなります。「いいなあ」と感じたことばがどこから発せられているのか、その正体を見極めたい。お客さんの探究心は「何の広告だろう?」と商品への注目につながり、「へーこれか……」と商品の紹介文、写真、データに目を移してくれることになります。
お客さんにとって、その正体も魅力的に見えたなら、購入の行動に移ることになります。
魅力あるキャッチコピーは、商品とは離れた位置で人気を呼ぶ。そして、お客さんの意識のなかで、やがては商品のもとに帰る。こういうキャッチコピーを載せたサイトは、「売れるWebサイト」に成長します。
魅力あるコピーは世間に数多くの例があります。自社で販売する商品と同分野のモノにはどんなコピーがつけられているのか。ネット検索や雑誌から探し出して、いい例をできるだけ多く、調べてください。
「安くて質がいい」だけがウリの商品。キャッチコピーのつくりかたは?!
ではここで、ファッション雑貨のキャッチコピーを考えるコツとして、女性向きファッション誌から抜粋したコピーの例を紹介しましょう。
A. 「美人ニット」は鎖骨が決め手 (Grazia 2008年4月号)
B. 大人セクシーな白シャツ25 (同)
C. 送り迎えスカートの正解コート丈 (VERY 2008年1月号)
D. 大人ミニ徹底攻略 (with 2008年1月号)
E. 「可愛い値段」なのに! 堂々おしゃれなコーディネート (Oggi 2008年1月号)
A~Dは、キャッチコピーを読んだだけで、何が紹介されているのか、この後どんな商品が展開されていくのかがすぐにわかりますね。Eの「可愛い値段」は、要は「安いもの」ということですが、安ものというと身もふたもないところを、身もふたもあるような表現にしてあります。
ネットショップのオーナーさんたちがよく口にするのは、「うちの商品はこれといった特徴はないけれど、リーズナブルなのに質がいい。それがウリなんです!」ということです。この場合、オリジナリティがないために打ち出すキーワードが見つからず、魅力あるキャッチコピーづくりがかなり難しくなります。先ほどのEのように、短所を長所に転換する表現はひとつの手法でもあります。高級誌で安くていいものを紹介する記事のキャッチコピーをぜひ、参考にしてください。
最近のファッション誌に踊る妙な略語(安かわ=安い+かわいいなど)や、笑ってしまいそうなキャッチコピーには賛否両論がありますが、この潮流はもうしばらくは続くでしょう。
Webサイトのキャッチコピーを作る際には、旬やトレンドを意識することが大切。たとえ老舗の手作り和菓子や和服を紹介する場合でも、斬新な感覚で商品を紹介するセンスを磨きましょう。
著者プロフィール

名前 | 朝日奈 ゆか | info_email_01[アットマーク]yumble.com |
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