第7回のこの覧でご案内した講演会「マスコミにとりあげてもらう方法とは?!~ニュースリリースの作り方からマスコミへの配布方法、取材対応まで細かく伝授します~」が先だって終了しました。講演のテーマは、昨年秋までこの覧で連載していたテーマと同じです。このコラムを読んでお越しいただいた方も多く、本当にありがとうございました。
当日は、コラムでは書けなかった(公開サイトでは言えないマスコミの裏話も含め……)マスコミにPRするための裏技をお話しましたが、時間の関係で持参した情報の5分の1程度しかお話ができませんでした。その後、みなさまからメールなどで質問が寄せられています。
今日は、「Webサイト編集術」をお休みして、質問のなかから数が多かったものについて、この場を借りてお答えします。
Q ニュースリリース制作の方法で、他のセミナーやマニュアル本では「A4・1枚でおさまるように作ろう」と言われることが多いのですが、先生の講演では「A4・3~6枚が適切だ」とおっしゃっていました。どう判断すればいいでしょうか。
A. はい、お話したように、A4で3~6枚にまとめるのが適切で、ショップや会社の概要を入れると5~8枚でつくります。
新聞記者は、記事にすることが決定すればすぐに手元にあるニュースのリリースを参考に原稿を書きます。基本は取材をして「本当にその情報が確かかどうか」(裏をとる、と言いますね)を確かめますが、「急にあいたスペースを埋めなくてはいけなくなった」「今日の夕刊の締め切りまであと1時間……」となると、取材に行くこともなく、ニュースリリースだけを参考にあとは電話確認程度で、いや電話確認もなく記事に起こすことも多くあります。雑誌の場合もけっこうそういう場面は多いのです。
つまり取材に行くことができない場合は、ニュースリリースに掲載されている情報量以下のボリュームしか記事にはできない、ということです。
たとえばあなたが、「取材に来てもらったときに話をすればいいので、まずはA4・1枚のニュースリリースを送ろう」と判断したとします。運良く記事にしてもらえることになった。でも取材に来てもらえない場合は、ニュースリリースに記したこと以上の情報を提供することができません。
マスコミにとっては、情報の選択肢が多いほうがいい
報道をする人の立場に立って考えてください。記事を書くにあたっては、参考資料や情報がたくさんあるほうがいいに決まっているのです。400字の記事を書くにあたっては、その10倍以上、4000字以上の情報がほしいのです。大昔、みなさんが学校の宿題で調べもののレポートを書いたときと同じです。少ない資料でいいレポートを書くことはできましたか?
記者にとっては、取材対象の情報は選択肢がたくさんあるほうがいいのです。
講演では、「写真は必須だ」と言いました。もちろん、記者が写真を選択できるように、複数枚数を用意しておくべきです。商品を紹介するのに写真がないリリースが届いたとして、はたしてあなたが記者なら取材する気持ちになるでしょうか。記者のキモチは、「写真がないからイメージがわかないなあ」、イメージできても「現物はまったく違うものかもなあ」。そういう「写真を確認していないリスク」を負いながら報道したくないのが記者の心理です。
写真数点、文字情報もたくさん、読者プレゼントの案内(これの写真もあるとなおよい)、発信元の会社概要、お問合せ先の案内……これらを全部きちんと書くとなると、A4・1枚ではとうてい足りません。どんなに少なくても、A4・2枚は必要です。商品が複数になったり、オリジナル情報が多い場合はA4・5~6枚が普通です。
ちなみに、弊社に届くリリースで、A4・1枚というのは大手企業が発信する単発商品がほとんどです。これは、すでにだれもが知っている大手ブランド、大手メーカーが発信しているので、会社情報や発信者情報が削除されている特別な場合の分量です。それでも、やはり手にした時には情報不足の印象はいなめません。
「A4・1枚」でおさまる情報というのは、新聞や雑誌の関係者から見ると、手にしただけで内容が薄い。「社内用の企画書じゃあるまいし」と思う人が多いのです。
ただし、広告系媒体やWeb媒体にメールでニュースリリースを送る場合は、A4・1枚の短いものが喜ばれるということがあります。広告媒体の業界は、文字の情報が少なくてキャッチコピー1つ、写真1つで決める、という体質があります。また、Web媒体の関係者はたいていメールでリリースを確認するため、正直、量が多いと何通も見ているうちに物理的に苦痛になってくるのです。よほど良質な情報でない限り、印刷などしません。よって「短かいほうが助かる」という感覚です。
弊社でも、メールで届いたリリースはあまり重視しません。たくさん読んでいくうちに目がイタくなるのです……。
マスコミの中でも特に新聞や雑誌の関係者は、とにかく情報量を求めるので、メールではなく郵送でそれなりの情報が届くことを期待しています。
旧連載の第6回も参考にしてください。
マスコミに持ち込む「プレスリリース」をつくろう(3)―プレスリリースの構成例
どんな場合でも悩んだときには、あなたがつくったニュースリリースを前にして、「わたしが記者ならこのリリースを記事にするだろうか」と冷静に考えてみるのがいちばんいいですね。何らかの答えが見えてくるでしょう。
さあ、みなさん、今年は一念発起してニュースリリースを作りましょう!
著者プロフィール

名前 | 朝日奈 ゆか | info_email_01[アットマーク]yumble.com |
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