Core i5を32nmプロセスに移行できない理由はどこに?
しかし、第2の説でも解決していない謎がひとつある。2009年2月にインテルが発表したロードマップによれば、GPU混載のCore i3は32nmプロセスに移行する一方で、Core i5に関しては45nmプロセスのまま留まる事が明らかにされている。ただし、45nmプロセスに留まるのはCore i5のみで、同じクアッドコアCPUでも、Xeonは32nmプロセスのWestmereに移行することが明らかになっている。さて「これは何故か?」という謎である。
理由のひとつは明らかにされていて、その時点では「32nmプロセスがメインストリームの需要を賄うだけの供給量を提供できないため」だという。インテルは32nmプロセスのファブ(製造工場)を3つ建設中であると明らかにしている。現在は米国オレゴン州の「Fab D1C」が2009年末に操業開始予定で、アリゾナ州の「Fab 32」とニューメキシコ州の「Fab 11X」は2010年という。だが、あまり説得力のある理由とは言いにくい。
筆者は「おそらく現在の32nmでは、PCI ExpressとDMIのインターフェース系回路を、CPUと同じダイに集積できないからではないか?」と疑っている。Xeon系列はCPUとチップセットの接続にQPIを使う。Core i3ことClarkdaleでは、PCI ExpressやDMIは45nmプロセスのGPU側に入り、CPUとGPU間はQPIで接続される。
したがって、45nmプロセスのCore iシリーズで、PCI ExpressやDMIをCPUのダイから直接出す必要があるのは、Core i5と(2009年4月のIDF 2009 北京で公開された)組み込み向けCPUの「Jasper Forest」(コード名)のみである。これらはいずれも45nmプロセスで製造が予定されており、32nmプロセスへの移行の予定がないあたりが非常に怪しい、と筆者はにらんでいる。
話を戻すと、理由はともかくCore i5は45nmプロセスのまま、Core i3は32nm+45nmプロセスのまま、2010年いっぱいを推移することになる。32nm版クアッドコアのWestmereは、少なくともCore i5に入る可能性はなく、今のところはXeon向けのみとなる。あるいは将来のCore i7に使われる可能性はあるかもしれないが、現時点ではインテルも、具体的なプランを持っていないようだ。
お詫びと訂正:掲載当初、「Core i5は32nmプロセスのまま」と記載していましたが、正しくは45nmプロセスでした。ここに訂正するとともに、お詫びいたします。(2009年5月26日)
このあたりはライバルであるAMDの製品展開如何で、必要ならいつでも投入できるオプション扱いとしていると思われる。とりあえずCore i7 920は引き続き発売されるほか、近いうちに「Core i7 950」(3.06GHz)と「Core i7 975」(3.33GHz)の展開も予定されており、このラインナップで当面は問題ないと考えていると思われる。
さらにこれとは別に、Extremeシリーズのマーケットに向けて、コード名「Gulftown」と呼ばれる、32nmのWestmereベースの6コア製品が、2010年第1四半期に投入を予定している事が明らかにされている(これも2010年1月ではないかと想像しているが、あるいはこれのみ3月かもしれない)。問題は、これをCore i7のブランドで出すのか不明なことだ。ひょっとすると、6コアCPUに関しては違うブランド、例えばCore i9になるかも知れないが、現状はそのあたりもまだ確定していないようだ。
今回のまとめ
・Lynnfield=Core i5、Clarkdale=Core i3、Westmere=Nehalem世代の32nm版
・Core 2 QuadはCore i5に移行、Core 2 DuoはGPU内蔵型のCore i3に移行
・Core i3はCPU自体が32nmプロセス、GPU側は45nmプロセスの混合型になる。その理由は謎のまま
・逆にCore i5は2010年も45nmプロセスのまま。32nm版はXeonのみ
・Westmereベースの6コアCPU「Gulftown」が、2010年第1四半期に出る
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