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完全解剖「名前とアドレス」 第4回

Webやメールで使われる名前の正体を理解しよう

インターネットで使うドメイン名と名前解決

2009年05月25日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/編集部

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ドメイン名を構成する要素

 ドメイン名の構造を見ていこう(図2)。この例を見ればわかる通り、ドメイン名は文字列を「.(ピリオド)」で区切ることで構成されており、区切られた各文字列のことを「ラベル」と呼ぶ。

図2 階層構造になっているドメイン名

 ドメイン名でも利用する文字の種類は決まっている。各ラベルは英字と数字、そしてハイフンが利用でき、最大文字数は63文字まで。また、ハイフンを各ラベルの先頭と末尾に使ってはならない。最終的にはFQDN(後述)の最後のピリオドまで含めた255文字以下で構成しなければならない。ちなみに大文字と小文字は区別されないので、「AsciiMW.jp」でも、「asciimw.jp」でも扱いは同じだ。

 なお、現在では日本語ドメイン名も利用可能になっており、この場合は全角のひらがな、カタカナ、漢字を利用できる。これにより「エヌマグ.jp」のようなドメイン名も実現する。

FQDNとドメイン名

 ドメイン名を正確に表記したモノを「FQDN(Fully Qualified Domain Name:完全修飾ドメイン名)」と呼ぶ。

 このFQDNは「ホスト部+ドメイン部」という構成になっている。たとえば、「www.example.co.jp」の場合、「www」に当たる部分がホスト名で、コンピュータ自体を表わす。Webサーバであれば、「www」と付けられることが多いが、複数のWebサーバがあれば、「www1」、「www2」などと付けられるし、「asciimw.jp」のように省略されてしまう場合もある。こちらはサーバの管理者が自由に名前付けできる。

 一方、ホスト名より右側のピリオドで区切られた「example.co.jp」の部分は「ドメイン部」と呼ばれる。こちらはユーザーが勝手に使うわけにはいかず、認証機関に申請を行なう必要がある。各自で勝手にドメイン名を使っていたら、インターネット上で同じホスト名が複数存在し、一意性を確保できないからだ。JPドメインではJPRSに申請の手続きを行ない、登録することになる。

さまざまなドメイン名の種類

 ドメイン名は、上位のドメインが、下位のドメインを管轄する階層構造で管理されている。www.example.co.jpであれば、もっとも右にある「jpドメイン」の配下に「coドメイン」があり、その配下に「exampleドメイン」があるというツリー構造だ。ここでいうドメインとはjpやcomなど、所属するグループを意味する。

 そして、ツリー構造の上位のjpドメインをトップレベルドメイン(TLD)、その配下のcoドメインをセカンドレベルドメイン(SLD)、exampleドメインをサードレベルドメイン(3LD)などと呼ぶ。ただ、TLDのさらに上位には「ルート」というドメインがあり、「.」(ピリオド)で表現される。正確にはFQDNではこのルートを意味するピリオドも記載されるが、一般的には省略される。

 TLDはcomやjpなど分野ごとに作られた「gTLD (generic TLD)」と、国コードを表した「ccTLD(country code TLD)がある。現在gTLDは20種類程度、ccTLDは計250種類に上っている。jpのドメインはさらに組織型、地域型、そして汎用などに分類されている。

 こうしたドメイン名の名前付けは住所と似通っている。「東京都新宿区西新宿4-34-7 住友不動産西新宿ビル5号館」の場合、「東京都」がTLDだとすると、東京都に属した「新宿区」がSLD、新宿区に属した「西新宿4-34-7」が3rd LDになる。そして、「住友不動産西新宿ビル5号館」がホスト名にあたるわけだ。

(次ページ、「DNSのドメインと階層構造」に続く)


 

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