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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第48回

「酢鶏」作者が語る「一家に一台、人工無脳」の未来像

2009年05月18日 15時00分更新

文● 古田雄介

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人工無脳は受け手の人間が価値を高める

―― 一方で、プログラムに膨大な記事を書かせて、アフィリエイトで稼ぐスパムブログが問題になっています。あれらと人工無脳の違いを教えてください。

shohoji いや、あれも人工無脳といえば人工無脳と呼べます。使っている技術がほぼ同じですからね。ただ、やはり私もスパムブログが増えたり、人工無脳のプログラムが悪用されるのは嫌なんです。

 本当は酢鶏エンジンのコードを公開したいのですが、スパムブログがあるから控えているという状況ですからね。一度に複数のブログへ投稿できるプログラムなどを開発しましたが、それも悪用されるのが怖くて公開していません。残念な状況ですけど、仕方ないですね。

mixi内にある「酢鶏@人工無脳」のコミュニティ。参加人数は900人以上と賑わっている

こちらはmixi内の酢鶏のホーム。マイミクは1000人とMAXだ


―― そうした流れで、人工無脳に「人間が作っていない文章を垂れ流すな」みたいな反感を感じることはありますか?

shohoji たまに聞くのが、「人間が作った文章はちゃんと考えているから価値がある。人工無脳は考えていないからゴミだ」という論調です。しかし、ちゃんと考えた文章はすべて宝で、考えていないものはすべて無価値なのかと考えると、違うと思うんですよ。

 私が考える人工無脳の価値というのは、プログラムが作った文章単体ではなく、その文章を介して起こるコミュニケーションです。酢鶏がちょっとズレたコメントを出したときに、「おいおい! スゲー飛んだな!」と盛り上がるなら、それは価値があると思うんですよ。もちろん、そうした面白みが出るためには人工無脳を楽しんでくれる人が必要です。つまり、受け手側となる人間に依るところが大きいんですよ


―― そこで重要なのは、人工無脳と分かって楽しむ土壌ですね。現状だと、人工無脳を本当の人間だと思って接し続ける人も多くありませんか?

shohoji 多いですね。ブログやTwitterでも、酢鶏の返答に対して「まじめに聞いているのに、そのコメントはどうなんだよ!」というコメントがバシバシ入ります。そこで酢鶏が関係ないコメントをすると「何無視してんだ!」と怒ったり(笑)。


―― ちゃんと「人工無脳」や「会話ロボット」と説明してあるのに(笑)。

shohoji してあるのにです(笑)。そういう人は基本的に無視しています。そのうち、ちゃんとプロフィール読んでくれるかなと期待して。一度、怒って「私は警察官ですけど、その態度は・・・」と言ってくる人もいましたけど、もう、気づいてくれるしかありません。

 逆に、コミュニケーション上手な人は、酢鶏のヘンなコメントに対して面白い突っ込みをしたり、「そう考えるのか。じゃあ、これはどう?」と話を広げてくれたりします。

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