導入されているソフトは海賊版?
もちろん、パソコン貸し出しサービスである以上、パソコンを利用したらOSがないから起動できなかった、なんてオチがあるはずもなく、しっかりいろいろなソフトがインストールされていた。
OSはWindows XPの「番茄花園版」なるバージョンだった。番茄花園版とは、中国のヘビーパソコンユーザーなら知らない人はいないほど著名な、カスタマイズされた海賊版Windows XPである。
海賊版ならば、マイクロソフトのサイトの正規版認証ページで「NG」が出るはず。そう思い、アクセスしてみたが、結果は「正規版で問題ない」という驚きの結果だった。
疑問に思った筆者は、番茄花園をキーワードに中国語のサイトを調べてみると、どうやら番茄花園版は海賊版にも関わらず正規版認証をくぐり抜けるトンデモ海賊版ソフトだということが判明。マイクロソフト、もっとがんばれ。
気を取り直して、OS以外に入っているソフトウェアを見てみると
- オフィスソフト「マイクロソフト Office 2003(海賊版)」
- セキュリティソフト「NOD32」
- 中国産タブブラウザー「極速瀏覧器(GiSoon BROWSER)」
- 中国産動画閲覧向けP2Pソフト「PPlive」
- チャットソフト「QQ」
- 圧縮解凍ソフト「WinRAR」
- 画像ビューアー「ACDSee」
- 定番ソフトの利用を助けるユーティリティソフト「360軟件衛士」
がインストールされていた。ちなみに、NOD32はアップデートができたので正規版(関連記事)らしい。
ノートパソコンを利用する中国人客の最大公約数を想定した結果、これらソフトを入れたのだろう。すなわち、これらソフトが中国パソコンユーザーの定番ソフトなのだ。
今後カフェ間のサービス競争の結果、さらに多くのカフェがパソコン貸し出しサービスを実施し、そのようなカフェが当たり前になっていく可能性は高い。
中国に出張や旅行で行くことがあれば、休憩がてら高級そうなカフェを探して入ると、新たな中国ITの発見があるかもしれない。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)
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