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ニコ動とJOYSOUNDで変わる、ネット時代のカラオケ

2009年05月14日 16時00分更新

文● 盛田/ASCII.jp編集部

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アプローチはすべて手探り
「作家からの連絡が欲しい」

 社内では「いくらウェブで人気があっても、そのままカラオケに入れるなんて考えられない」と眉をひそめられたが、ユーザーの声を無視することはできないと配信を決意。ネットで連絡先を探し、すべて手探りで作家にアプローチした。

 初めにせら氏の人気曲「エアーマンが倒せない」の交渉を始め、その後に東方アレンジ系やボーカロイド系楽曲の交渉を進めた。初めはどうなるかまったく予想できなかったものの、いざ配信を開始してみると、採用した楽曲の人気は爆発的な高まりを見せた。

せら氏の「エアーマンが倒せない」。ニコニコ動画内で様々なアレンジバージョンが投稿されている

 「通常、アーティストの曲を配信するかどうかの目安は、前回採用した曲が(実際の店舗で)歌われている上位1万位以内に入っているかということなんです。それで東方アレンジ系の楽曲はすべてが1万位以内に入っているという驚異的な状態なんですよ」

5月4日から5月10日までのJOYSOUND総合ランキング。J-POPと並び、「メルト」や「ダブルラリアット」といった初音ミク系の楽曲が30位以内に4曲ランクインしている

 東方アレンジ以外でも、初音ミクを使った人気ユニットsupercellの楽曲は全ての楽曲を合わせた総合ランキングでも上位にランクインしつづけており、初音ミクの楽曲を代表する有名曲、ika氏の「みくみくにしてあげる」もいまだに人気が衰えることなく歌われているという。

 ただし、いまだにアプローチはすべて手探りで、連絡先を調べるところから始めるためにどうしてもすべてのリクエストに応えるのが難しい状態になってしまっている。

 「交渉中」「調査中」と表示されている楽曲は、アプローチがかけられておらず保留になってしまっているものだ。

 「お待たせしてしまい、申し訳なく思っています。作家さんからアプローチがあればすぐにでも投票可能な状態にさせていただこうと思っていますので、作家の方からの連絡が欲しいところです」。そう小林さんは頭を下げた。


ニコ動系音楽作家は
ご当地系演歌歌手と同じ?

 こうしたネット上の楽曲を扱う上では、楽曲の二次利用を通じた作家の権利・収益の課題もある。現在、ネット上で活躍する作家たちからは、すべて無償で楽曲を提供してもらっている状態となっている。

 このようにレコード会社や著作権管理事業者を経由しない形での楽曲提供の流れは、実はこれまでにもあったもの。それはいわゆる「ご当地系演歌歌手」のケースだ。

「ご当地で活躍される演歌歌手の方からは、以前より要望があったんです。その場合、本来であればカラオケ楽曲の制作費をいただくのですが、カラオケスナックにカラオケ機器の販売や紹介の協力をいただける点で、カラオケ楽曲の制作費を肩代わりしていたところがあったんですよ」

 ただし現在は、その場合でも楽曲の制作費をもらうケースが多いという。また著作権料に関しては、歌手本人の要望があって入れているため、免除してもらっているのだとか。

 著作者へのキックバックが難しい理由はカラオケの構造にもある。着うたなど、曲単位で課金できる従量制の楽曲配信サービスと違い、カラオケはあくまで時間単位の定額制。楽曲によって料金が変化することもないため、キックバックの仕組みを作りづらいのだ。

「ユーザーからの声(リクエスト)で曲を使わせてもらっている以上は、なんらかの形でキックバックする仕組みを作りたいと思っています。ひとつの法人としてではなく、業界そのものとして考えていかなければならない、私たちの大きな課題です」

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