このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

歴史を変えたこの1台 第5回

ML、ネットワークプロセッサ、価格、ISDN!国産ルータかく戦えり!

楽器メーカーが作った傑作VPNルータ「RTX1000」

2009年05月08日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

23Mbpsから55Mbpsへ
ファームウェアでさらに高速に

 高速で信頼性の高いRTX1000は、SOHO 市場で当時唯一無二の存在感を誇った。明確なコンセプトの元、出荷台数は伸び続け、1年後に累計で5万台を実現するヒット商品になった。

 「当初はADSLを使ったインターネットVPNがほとんどだと思ったのですが、当時は始まったばかりの通信事業者のVPNサービスでも障害が発生していた状況でした。ですから、広域EthernetやIP-VPNとISDNバックアップを組み合わせるというユーザーもけっこう多かったようです」(平野氏)という意外な需要も掘り起こした。

 さらにヒットにつながった理由として、ファストパスという高速化技術の導入が挙げられる。ファストパスは、ルーティング処理をパケット単位ではなく、同一宛先に向かう一連のフロー単位で行なう技術。いわゆるレイヤ3スイッチのASICによるパケット転送と同じような仕組みを用いるのだ。RTX1000のソフトウェアを担当した瀬尾達也氏は「最初にRTX2000という機種で実装して成果が出たので、RTX1000への導入もチャレンジしました。ファームウェアのアップデートという形なので、かなり思い切ったことでしたが、やはり競合と大差を付けるために必要だと考えました」と語る。これにより、当初23MbpsだったVPNスループットがなんと55Mbpsまで高速化されたのだ。

 こうしたスループットの高さやISDNバックアップなどの実力が認められ、2003年2月にRTX1000はNTTコミュニケーションズのマネージドVPNサービスの専用ルータとして採用されることになった。これがさらに普及に拍車をかけ、RTX1000はSOHO向けVPNルータとして不動の地位を獲得した。

ギガビット時代を想定した ヤマハの「RTX1200」

 2005年には後継の「RTX1100」が登場したが、あえて「変えないこと」が意識され、基本的にはハードウェアの底上げがメインに強化された。

 そして、2008 年いよいよRTX1000/1100の後継として登場したのが、筐体を一新した「RTX1200」である。RTX1200ではギガビット対応のほか、ワイヤレスブロードバンド対応や省エネの充実が図られ、5年先を見据えた製品となっている。企業の光回線利用が急速に高まる中、このRTX1200が市場でどのように受け入れられていくのか楽しみだ。

写真5 筐体を一新し、ギガビット化を図ったRTX1200。省エネにも配慮されている

写真5 筐体を一新し、ギガビット化を図ったRTX1200。省エネにも配慮されている

■関連サイト

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事