気になるポイントをチェック!
マザーボードを天地逆に搭載するなど、省スペース化のためのアイデアが光る内部。実際の使い勝手や、拡張性などを中心にチェックしよう。また、こだわりのデザインや質感の高さにも目が離せない。
ドライブベイ部分。写真手前が5インチベイ(1基)、奥が3.5インチシャドウベイ(2基)。5インチベイ部分のくぼみにある、4つの黒い円形パーツに注目。この部分にはSSDを搭載できる。3.5インチシャドウベイの近くには排気用ファンを1基備え、ケース全体の排熱のほか、HDD冷却にも効果的
ケース背面部分から見た様子。5インチベイを使用するには、まずフロントパネル全体を外す必要があり、この手間は前面のスッキリしたデザインとのトレードオフとなっている。2.5インチベイ部分はシャシーからわずかに浮いているほか、排熱用の穴も備えて熱問題をクリアしている
ケース前面下部には、吸気用スロットを備える。本機の注目は開口部の少なさ。両側面はもとより、上部にも開口部はない。これによりPCケースらしくない、端正な外観を得ている。吸気スロットを見えない場所に配置するなど、アビーのデザインと体感音を下げることへのこだわりが感じられる。なお、ケース内部には空気の通り道となる丸穴を開けて、効率的なエアフローを確保している
ATX電源を搭載できる、電源ユニット部分のスペースはたっぷり。奥行きの長いタイプのユニットも楽々搭載可能。ケーブルの逃がしも問題ない
マザーボードパネルは厚さ1.2mmのスティール板をリブ加工し、重量級CPUクーラーの使用にも耐えられる剛性を確保している。ブラケット側に8cmファンを2基増設可能で、3GHz超級のクアッドコアCPU使用時など、排熱に不安がある場合は排気ファンの増設で対応できる。ロープロファイルではないため、比較的大きいCPUクーラーを装着できるのもうれしい
トップパネルは厚さ2mmものアルミを贅沢に使用。剛性は非常に高く、24インチ級の大画面液晶ディスプレーの設置にも、たわむことなく十分耐えられる。また、シャシーとの接触部分には制震シートを配置し、ファンやHDDによるビビリ音の増幅を防止している
高剛性を実現するシャシー部分の曲げ加工にもぬかりがない。サイドパネルは1.2mm厚のアルミだが、複雑な曲げ加工とスティール製のドライブベイが補助となり、ケース全体の剛性を高めている。各部材のエッジも角が取れており、指を切る心配もない
アルミインゴットを削り出して造られた、ケース前面を支えるフットパーツ。目につきやすい部分だけに、高級感あふれる素材のチョイスがうれしい。机との接地面にはウレタン製インシュレーターを装着し、木製の机を傷つける心配もない。シリコンゴム製のインシュレーターは粘着シートでケース底面に貼り付ける。位置決め用のシートが付属するのがうれしい。目に見えない部分にもこだわりたい、ユーザーの心理を的確に突いてくる
使いやすさにこだわったからこそ
生まれた奇抜なデザイン
smart SC120Dは「デザインだけの一発勝負」と思っていると、その考え尽くされた構造に驚くことになる。高性能グラフィックボードの増設こそできないものの、HDD×2+SSD×1を搭載できる拡張性や、ゆとりのあるケース内部のもたらす使いやすさは、同じく机上で使用するキューブPC以上。さらに机の上に置くからこそ、吸排気口やネジ類を背面以外は見せないようにするなど、デザインにもこだわっている。無線式キーボード+マウスと組み合わせて、AVセンターとしてリビングで利用するなど“見せるPC”としても活用できる。唯一気になったのは5インチベイ部分。これほど素晴らしい質感のアルミフロントパネルにマッチする光学ドライブは、なかなかあるものではない。贅沢な悩みだ。
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