このページの本文へ

歴史を変えたこの1台 第3回

高速ファイアウォールの定番「NetScreen」日本市場の軌跡

ファイアウォールを再定義した「NetScreen」の10年

2009年05月06日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp
写真 曽根田元

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

激しい議論を呼んだ
日本市場でのNetScreen投入

 日本市場において、このNetScreenシリーズをいち早く販売したのが、日立西部ソフトウェア(現日立システムアンドサービス)である。同社は社名の通り、関西を拠点にソフトウェアの開発や販売を行なっていたが、同社の研究開発部門の担当者が米国のカンファレンスでネットスクリーンと出会ったことが、その後の同社の方向性を大きく変えることになった。

 もとより日本での展開においては、そもそも市場があるのか、ソフトウェア会社で販売やサポートができるのか、など日立西部ソフトウェア内でも侃々諤々の議論が戦わされた。設置や操作の容易なハードウェア型のアプライアンスは、システムインテグレーション費がとれない。こうした点も、ソフトウェアの開発・販売を生業とする同社が抱える懸念であった。

 しかし、当時の経営陣のアグレッシブな決断で、ソフトウェアという囲いをあえて破って米ネットスクリーン製品展開を図ることになった。同社はネットスクリーンとの契約にこぎつけ、1998年12月に日本での販売を発表した。開始当初からプロジェクトを率いていた野村雅光氏は「当初、ソフトウェアだったルータがハードウェア化され、現在のスイッチになりました。こうした過去の経緯を考えると、セキュリティ装置も必ずASICのようなハードウェアで動くものになっていくと信じていました。当時は賭けでしかなかったのですが、今となっては先見の明だったのでしょうか」と語る。

写真2 株式会社日立システムアンドサービス プラットフォームソリューション本部 サービスビジネス部 部長 野村雅光氏

写真2 株式会社日立システムアンドサービス プラットフォームソリューション本部 サービスビジネス部 部長 野村雅光氏

 最初に市場投入した「NetScreen-100」は100Mbpsのスループットを実現する高速なファイアウォール・VPNアプライアンスである。64kbpsのISDNが主流の当時、100MbpsというNetScreen-100の性能は、まさに神の領域といえよう。しかも、数百万円が当たり前のファイアウォール市場において、価格も198万円に抑えた。

 当初、斬新すぎる製品の壁は厚く、大手のSIerでは、まったく扱ってくれなかったという。しかし、新しものが好きな製造業の会社や公共系、あるいはこれから伸びていくという新しいセキュリティ系のベンダーは少しずつ扱うようになってくれた。

 また、雑誌等の広告もかなり打ち、当時始まったばかりのWebでの情報提供も積極的に行なった。「サイトのデザインはあまりよくなかったですが、ファイアウォールってなにか、セキュリティの基本を明確に書くことに徹しました。更新も相当頻繁にやっていましたね。これが受けたみたいで、メールの問い合わせが殺到しました」(野村氏)。こうした地道な努力が実り、徐々に製品の知名度も上がっていった。

写真3 「The Next Generation Security Solutions」の売り文句が光る当時の広告。実際にその通りになった

写真3 「The Next Generation Security Solutions」の売り文句が光る当時の広告。実際にその通りになった


次ページ、「日本でのターニングポイントとなった2つの事例」へ続く


カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事

アクセスランキング

  1. 1位

    TECH

    訓練だとわかっていても「緊張で脇汗をかいた」 LINEヤフー、初のランサムウェア訓練からの学び

  2. 2位

    ビジネス

    管理職こそ大事にしないとまずくないか? 約4割が「続けたい、と答えない」現実

  3. 3位

    ビジネス・開発

    最悪のシナリオは「フィジカルAI」による基幹産業の衰退 日本の勝ち筋は、“同期技術”と“ドメイン知識”

  4. 4位

    ITトピック

    若手が言わない“本音の退職理由”上位は/「データ停止は景気後退よりも企業の脅威」6割/クライアントに告げずAI活用するフリーランス、ほか

  5. 5位

    データセンター

    液冷技術の最先端が集うイノベーションラボ「DRIL」、印西のデータセンターに現わる

  6. 6位

    ビジネス

    廃校がAIの心臓部に!? 地方の遊休施設を「AIデータセンター」に生まれ変わらせるハイレゾの挑戦がアツいぞ

  7. 7位

    Team Leaders

    ファイル名が命名規則に合っているかの自動チェック、Power Automateのフローで実現しよう

  8. 8位

    TECH

    合成ゴムが及ばない天然ゴムの高性能のメカニズムを、現象発見から100年後に解明

  9. 9位

    TECH

    Claude Code+Backlog MCPサーバーで、GitHubとBacklogの“二重管理問題”を解決する

  10. 10位

    IoT

    重機3台の遠隔施工をオペレーター1名で NTTと大成建設がIOWNדローカル5G/WiGigの使い分け”で実現

集計期間:
2026年04月12日~2026年04月18日
  • 角川アスキー総合研究所