このページの本文へ

西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第23回

シャープが新Mebiusで狙う「UIの変革」と新しい市場

2009年05月06日 16時00分更新

文● 西田 宗千佳

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

狙いは「モバイル」でなく「家庭」

 もうひとつNJ70Aの特徴として、Netbookでは多い「大容量バッテリー」の用意がない、という点がある。NJ70Aのバッテリー駆動時間はカタログ値で最大3時間。同クラスのNetbookに比べると少々短い。試作機であるためベンチマークテストはしていないが、無線LANを常用した場合の動作時間は2時間前後と思われる。液晶ディスプレーを2台搭載しているわけで、その分消費電力は大きくなっている、と考えるのが自然だ。これには、NJ70Aの設計思想もかかわっている。

笛田「今回の製品は、基本的にモバイルでのビジネス用途ではなく、宅内での利用を中心に考えています。対象ユーザー層もそうです。バリバリのモバイルユースには、また別のプラットフォームの方が向いていると思っています。特に今回意識しているのは、これまでパソコンを利用していらっしゃらなかった層です」

「パソコンと電子辞書の事業部が同じになったことで、彼らの動きにも注視していたんです。すると、面白い結果が得られました。例えばご高齢の方からは、『50音キーボードはないのか』というお話もあるんです。そのくらい、文字入力に関する問題が大きい。ですから、今の電子辞書では手書き入力が当たり前になっています」

手書き文字入力パネルとしても使える

光センサー液晶パッドは、内蔵電子辞書用の手書き文字入力パネルとしても使える

笛田「他方で、若い女性にうかがっても、『携帯ならできるのにパソコンだと意外とできないことが多い』という話もある。例えば、写真にちょっと絵や文字を加える、ということも難しい」

「皆さんが望んでいるけれど、意外と今のパソコンでは難しいことが多かった。ですから、やっぱり『手書きのインターフェースは必要だ』ということになったんです」

手書きの文字や記号を書き加えるのにも使える

写真に手書きの文字や記号を書き加えるのにも使える

「iPod touchもそうなのですが、タッチインターフェースというのは、便利さよりなにより『楽しい』。タッチですぐに使えて楽しいということが、非常に大切です。となると、手書きとタッチ、両方が実現できるデバイスはなにか、ということになります」

「抵抗膜方式では、手書きはいいんですがタッチがダメ、静電誘導式はタッチはOKだけと手書きはダメ。というわけで、光センサー液晶がいいだろう、という選択になったのです。誤解されがちなのですが、『光センサー液晶の搭載ありき』で進んでいた企画ではありません」

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン