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アキバで恥をかかないための最新パーツ事情2009第5回

知ったかは恥ずいゼ 2009

アキバで恥をかかないための最新パーツ事情2009【電源&PCケース編】

2009年05月03日 23時00分更新

文● Jo_Kubota

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PFCって?

 効率と言えば、「PFC」(Power Factor Controllerの略)または「“ActivePFC”で力率を改善!効率99%!」などと謳っている電源ユニットがある。この数字は“力率”であって、先の変換効率とはまるで別物だ。

 力率が高いと、何かいいことがあるのだろうか?

 なんとなく力率が高いと「高級そう」なイメージを持つと思うが、実のところパソコンに関して言えば、数字はあまり重要ではなかったりする。かと言って装備していないのも問題で、ATX電源ユニットが発する独特のノイズ「高調波」を抑えるために、PFCが一役買っていたりする。この高調波は、ACコンセントを通してパソコン以外の機器に影響を及ぼす可能性が高く、できる限り抑えることが望ましいとされている。
 しかし、これはPFC本来の役割ではなく、あくまでも二次的に効果を発揮するものだ。では、PFCは一体何をしているのか。それは、

 交流の「無効電力」を小さくすることだ。

 無効電力って、なんだか電力をムダにしているようで「やっぱりPFCは必要じゃん!」となるわけだが、無効電力が減って一番得をするのは、電気代を払っている我々ではなく、電力会社なのである。言い換えると、PFCなんぞなくても 電気代には一切反映されないのだ。「えー!そんなー!」と思う人もいると思うが、我々が払っている電気代は「有効電力」に対してであって「無効電力」は全て電力会社の負担なのだ。
 有効電力と無効電力、そして皮相電力についてここで数式を出しても皆さんには何の関係もないので省略するが、ともかくPFCの数字については、気にしなくてもいい、ということだけ覚えておけば大丈夫だ。

パッケージに「アクティブPFC」を謳う電源、Enhanceの「ENP-6610G」

 ただPFCがムダな回路かと言えばそうでもなく、上で述べたように高調波を抑制することができ、他の家電に影響を与えないというメリットがある。そのほか、無効電力が減ることで電力会社の発電能力に余裕が生まれ、火力発電所なら石油などの消費を抑えることができ、結果的に電気代が電力会社の意向で安くなるかもしれない――という希望的観測が持てる。石油の消費量が減れば、それだけCO2の排出量も減り地球環境的に「エコ」と言える。ただ、PFC回路によって消費される電力は有効電力として、我々が料金を払っていることを考えると「エコって一体なんだろう?」と思うのだが、このあたりは「考えるんじゃない、感じるんだ!」ということにしておいたほうが世の中の趨勢に逆らわなくていいだろう。
 話を戻して、大抵の電源にはこのPFC回路が搭載されている。日本ではまだ法的拘束はないが、エコ意識の高いヨーロッパではPFC回路の搭載が義務化されているため、日本に入ってくる電源ユニットも自動的にすべてPFC回路搭載となっているからだ。

電源ユニットの選び方

最大電力と12V

 電源ユニットを選ぶ際に最も困るのは「どのくらいの容量の製品を選べばよいか?」という点だ。
 前述したように電源ユニットには、複数の電圧ラインが存在する。その電圧ラインごとに規定の容量が決まっており、その合計が電源ユニットの総合出力となっている。例えば以下のような表記のある電源ユニットがあったとする。

  3.3V 5V 12V1 12V2 -12V +5VSB
最大電流 33A 40A 20A 20A 0.8A 2.5A
コンバイン電力 230W 327W 9.6W 12.5W
最大電力 400W
ピーク電力 480W

 12V1と12V2という表記がある場合、この電源ユニットの12V出力は2系統あることを意味している。それぞれ20Aとなっているので、12V×20A+12V×20A=480Wとなるはずだが、「コンバイン電力」の欄を見ると「327W」となっている。よって、この電源ユニットで使える12Vの電流は、327W÷12V=27.25Aまでとなるわけだ。例えば12V1で20Aを使いきってしまうと、12V2は最大でも7.25Aまでしか流せない、ということだ。
 これの何が問題になるかと言えば、昨今のマザーボードでは主に12Vを変換してCPUや各デバイスに電力を供給するようになってきている。また5インチベイに装着する光学ドライブやHDDのモーターも12Vを主電源として回っている。このとき、CPUとビデオカードで12V1の20Aを使いきってしまうと、12V2には、7.25Aしか流せなくなるので、12V2に接続しているHDDや光学ドライブが回り出した途端にパソコンの電源が落ちるという悲劇が起こるかもしれないのだ。
 また、コンバイン出力の欄を見ると、230+327+9.6+12.5で、579.1Wとなってしまうが、この電源ユニットは最大でも400Wとなっている。12V1+12V2で327Wを使ってしまうと、それ以外の電圧ラインでは、合計で73Wしか使えないということになる。
 と、ここまではよくある電源ユニットの話。一般の人がこの数字を見て、電源ユニットを選ぶなんて、無理がある。
 「じゃぁこの解説は無意味じゃん!」となるのだが、注目する点はたった1つ。それは12Vラインの容量とコンバイン出力のところだけだ。他は無視してもらって構わない。
 すでに述べたように、最近のパソコンは12Vラインで大きな電力を消費するよう設計されている。そのため、12V出力にさえ気を配っておけば、大きなトラブルに遭う確率は低くなるのである。

 さて、GPU編で、筆者は以下のように述べた。

消費電力の目安
CPU 130W
マザーボード 20W
メモリー 1枚あたり4W
HDD 1台あたり25W
光学ドライブ 25W
ファン類 1個あたり2W

 一般的なPCだと、130+20+4×2+25+25+2×3=214Wくらいとなる。これにビデオカードの消費電力を足して、その合計に1.5を掛けたくらいが電源ユニットを選ぶ目安になる。

 これには相応の根拠がある。「1.5」を掛けるというのがミソで、80PLUSの項目で述べたように電源ユニットは、負荷45%~70%くらいで使うのが一番効率がよい。例えば想定される電力が214W+ビデオカード95W(GeForce 9600 GT)、合計309Wとして、×1.5倍すると約450Wの電源ユニットを選べばよいことになる。そのとき、推定される負荷は69%程度となり、効率よく使える範囲に収まり、なおかつ電源容量にも余裕があるというわけだ。
 もっとも最近では12Vラインが強化された電源ユニットも増えてきているため、上の式で算出した数字より小さな容量の電源ユニットでも問題ない場合も多いが、迷ったら上の式を参考にして欲しい。

玄人志向のリーズナブルなATX電源ユニット「KRPW-V」シリーズの出力構成

(次ページへ続く)

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