知ったかは恥ずいゼ
アキバで恥をかかないための最新パーツ事情2009【ビデオカード編】
2009年05月01日 22時00分更新
ハイブリッドなマルチGPU環境
マザーボード編で紹介した、GeForce 9300 mGPUは単体でもそこそこの性能を発揮するが、これにGeForce 8500 GTなどのカードを差すことで、さらにパワーアップすることができる。つまり、チップセットに内蔵されたGeForce 9300 mGPUと8500 GTをSLI動作させて、パフォーマンスを底上げするというものだ。これを「Hybrid SLI」(関連記事)と言う。
同様に、AMDでも、AMD 780GとRadeon HD4000シリーズなどを組み合わせた「Hybrid CrossFireX」というものもある。
どちらもGPU内蔵チップセットに、ローエンドのビデオカードを組み合わせ、ワンランク上の性能にしよう! というもので、それ以上でも以下でもない。ビデオカードが余っているなら、差してみるとちょっぴり幸せになるかもしれない程度である。
PhysX SLI
もう一つ変わりダネとしては、NVIDIAの「PhysX SLI」(関連記事)というのがある。これはWindows Vista環境専用で、さらにGeForce 9000シリーズであれば、どんな組み合わせでも利用可能、しかも、SLIに対応していないマザーボードでも利用できる。
これは、PhysX処理(物理演算)と通常の描画処理を別々のGPUにて実行することで、パフォーマンスの低下を防ごうというものだ。その効果を発揮するには、最低でもミドルレンジ以上のビデオカードを2枚搭載する必要があり、そのコストの割りに得られる恩恵は今のところ少ないため、あまり普及していない。ただ、将来的にPhysXの有用性が上がってくれば、こういうこともできる、ということを覚えておくと役に立つかもしれない。
Mirror's EdgeにおけるPhysX SLIの効果
目的で選ぶビデオカード
24インチ液晶ディスプレイ&フルHDで最新ゲームをプレイする
フルHDとは、1920×1200ドットまたは1920×1080ドットの解像度を指す。この解像度で、ゲームプレイをするとなると、軽いといわれるオンラインゲームでもそこそこのパフォーマンスが必要となるだろう。また高解像度にすると逆に目だってしまうものがある。それはジャギーと呼ばれる、斜め線がギザギザに見える現象のことだ。これを軽減するためには、アンチエイリアシングという技術をゲーム設定で有効にすれば、より滑らかな表示となる。しかし、この設定は非常に処理が重いため、エントリーレベルやローエンドの製品では、ゲームプレイができないほどカクカクするだろう。
というわけで、フルHDでどんなゲームでも、「どーんとこい!」と言えるビデオカードは、おおよそ2万5000円以上の製品が選ぶ目安となる。具体的には以下の製品だ。
GPU | 実売価格 | 消費電力 | 電源コネクタ | |
---|---|---|---|---|
NVIDIA | GeForce GTX 295 | 5万5000円前後 | 289W | 6+8 |
GeForce GTX 285 | 4万3000円前後 | 183W | 6×2 | |
GeForce GTX 280 | 5万円前後 | 236W | 6+8 | |
GeForce GTX 275 | 3万円前後 | 219W | 6×2 | |
GeForce GTX 260 | 2万7000円前後 | 182W | 6×2 | |
GPU | 実売価格 | 消費電力 | 電源コネクタ | |
AMD | Radeon HD 4870×2 | 5万5000円前後 | 286W | 6+8 |
Radeon HD 4890 | 3万円前後 | 190W | 6×2 | |
Radeon HD 4870 | 2万7000円前後 | 160W | 6×2 |
この中で、GeForce GTX 295とRadeon HD 4870×2は、1枚のカードに2つのGPUを搭載し、マルチGPUとすることで性能を引き上げたモデルとなっている。その分、消費電力も高めとなっているが、マルチGPUにハマったときの速さは別格だ。逆を言えば、マルチGPUで速度が上がらないタイトルでは、下位モデル並の性能しか出ないことになる。
さてこれらのビデオカードを購入した場合、どのくらいの電源ユニットを購入すれば良いだろうか。
筆者の独断と偏見と経験によって以下の公式を作ってみた。
消費電力の目安 | |
---|---|
CPU | 130W |
マザーボード | 20W |
メモリー | 1枚あたり4W |
HDD | 1台あたり25W |
光学ドライブ | 25W |
ファン類 | 1個あたり2W |
一般的なPCだと、130+20+4×2+25+25+2×3=214Wくらいとなる。これにビデオカードの消費電力を足して、その合計に1.5を掛けたくらいが電源ユニットを選ぶ目安になる。
例えはRadeon HD 4870を装着すると、
(214+160)×1.5=561W
となるので、600W程度の電源容量があれば余裕を持って動作するだろう。
同様に、GeForce GTX 295を2つ積むと、
(214+289+289)×1.5=1188W
になるので1200W以上の電源が必要というわけだ。
これはあくまでも大まかな目安であって、絶対的なものではないが、容量に悩んだら、この式を参考にして欲しい。
さて、この中でもっともバランスが良い製品を選ぶとすれば、GeForce GTX 280と、Radeon HD 4870だ。どちらも発売から時間が経過しているが、GeForce GTX 280は、GTX 285とそれほど変わらない性能ながら、消費電力が低い点が魅力。Radeon HD 4870は、価格の割りに性能が高い点が魅力となっている。
※訂正とお詫び:記事初出時、GeForce GTX 285の電源コネクタ数に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
(次ページへ続く)
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