偽ブランドや著作権利者の許諾を得ないコピー品などが、ネットオークションに出品される数量が大幅に減った。(社)コンピュータ著作権協会(CIPP)が4月27日に、内閣官房知的財産戦略推進事務局に提出した資料で明らかになった。
CIPPは、2005年に国内のインターネットオークション業者(ヤフー、楽天オークション、ディー・エヌ・エーなど5社)と権利団体(日本国際映画著作権協会、日本レコード協会、コンピュータソフトウェア著作権協会など6者・社)によって設立された民間組織。ネットオークションによって著作権や商標権を侵害する物品の流通を自主的、もしくは要請に応じて登録削除している。
2008年度の調査結果として今回報告されたのは以下の通り。
表1 過去2年間の事業者による自主削除件数の推移 | |||
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商標権 | 著作権 | 総計 | |
2007年 | 74万8416件 | 18万7909件 | 93万6325件 |
2008年 | 52万4802件 | 5万2801件 | 57万7603件 |
表2 過去4 年間の権利者からの削除要請件数の推移 | ||||
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商標権 | 著作権 | 著作権 | 総計 | |
2005年 | 8万1491件 | 1万8263件 | 2件 | 9万9756件 |
2006年 | 6万929件 | 3557件 | 5件 | 6万4491件 |
2007年 | 3万907件 | 365件 | 2件 | 3万1274件 |
2008年 | 4万6747件 | 294件 | 0件 | 4万7041件 |
自主的に削除した件数は2007年度の約6割に減少したものの、削除要請は逆に約1.5倍に増えている。それでも全体では、いわゆる偽物の出品が大幅に減少していることが読み取れる。
CIPPではこの結果について、「日本方式」の取り組みが有効に機能したものとまとめ、継続して活動を続けるとともに、英語翻訳版を公開するなど、国内外にも活動の理解と賛同を得られるべく努力していくという。
日本方式:CIPPではその原則を以下のようにまとめている(以下引用)。
- 両者(権利者とオークション事業者)は、互いの立場を十分に尊重した上で、自身の利益のみならず、何よりも消費者の利益を護るために、共通の敵である権利侵害者に対して協同して立ち向かうべきであるとの認識に立つこと。
- 権利者は、権利とは自動的に保護されるものではなく、自らエンフォースメントを行うべきであるとの認識に立つこと。
- オークション事業者は、インターネットの健全な発展のために、積極的に知的財産権の保護に努めるべきであるとの認識に立つこと。
- 両者は、対策の推進にあたり、知的財産権を保護する意義と、利用者の営業の自由や通信の秘密が担保されることの意義を対等に認め、それら両方の価値を毀損しない対応をとるべきであるとの認識に立つこと。