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荻上チキが語る、炎上の構図

2009年05月08日 17時00分更新

文● ワクテカ編集部

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mixiオープン化で炎上は変わるか?

―― 炎上の鍵となったmixiは、今期中に社会内人格(ペルソナ)ごとにコミュニケーションの方法を設定するという方針を掲げています。友人同士なら「日記」ですが、社会人同士なら「日記以外」で、というものです。そのように複数のペルソナを同時に使い分けることで何か変化はあるのでしょうか。

「身近な、小さな炎上も避けなくてはならない」

荻上 実物がどうなるのかまだ分からないので何ともいえませんが、基本的にはこれまでのmixiの方法論と変わらないように思えます。ユーザーのニーズに合わせ、棲み分けを可能にし、複数のコミュニケーションを円滑にすることですね。

 そうした「ネット上での人格を様々に使い分ける」ということに関して言えば、ぼくたちは日常生活でも様々なコミュニケーションのモードやキャラクターを使い分けているわけで、それをネットでもスムーズに可能にした、ということなのでしょう。

 たとえば恋人と一緒のときは、「大好きだにゃー」とかネコ語をしゃべる男女がいても、親の前では当然そんな話し方はしないわけですよね。

 そうして恋人に対して「つぶやいた」言葉を親に聞かれたらこっ恥ずかしいので、コミュニケーションのチャンネルを棲み分ける必要がある。身近な、小さな「炎上」も避けなくてはならないわけで。

mixiではアプリを利用して新しいコミュニケーションのチャンネルを作っていくという。ニュースやゲーム、ギフト、カレンダーなど、ありとあらゆるメディアがコミュニケーションの場になる。「動画」を鍵にコミュニティーを形成したニコニコ動画のような例を考えると分かりやすい


 ただ、覚えておかなければならない点が二つあります。

 ひとつは、棲み分けが可能になるということは、コミュニケーションの断絶を意味するのではありません。現実がそうはさせないからこそ、特定のコミュニケーションをより円滑にするためのツールとして、ネットが活用されているということです。

 もうひとつは、システム上で棲み分けが可能になっているからこそ、「越境」する際にはこれまで以上の「空気リテラシー」が求められていることです。たとえば炎上対策が可能になっている状態だからこそ、個人のミスで炎上したことが、「自業自得」的なムードも高まりやすくなります。

 日本のSNSが海外のそれと違うように、どのようなアーキテクチャも、使用される文脈によって意味が変わることを覚えておいてください。たとえばオバマ政権はTwitterを使って政治広報をして、多くのフォロアーを獲得しました。しかし、日本ではそうなりそうにありません。

 匿名空間で野次るか、親密圏でつるむかといったユーザニーズがそこには存在しているのでしょう。

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