エロゲーにも興味があったり
── でも仕事はイラストレーターを選んだわけですね?
HSP:生活がかかってますから。音楽でずっと食べていける人はひと握りだけだと思っていたので……。
── それで音より絵だろうと。昔から描かれていたわけですか?
HSP:それもパソコン通信がらみで。中学生くらいになるとファミコンに飽きて、パソコンという未知の世界が、ものすごいものに見えてくる。「ファミコンにないこんなゲームが!」ってね。
── なるほど。何をやりたかったんですか?
HSP:エロゲーです。
── ……何かすごくエロい扉に見えていたわけですね、パソコンが。
HSP:でも親には言えないじゃないですか。だからパソコンを買う口実として「絵も描けるし音楽も作れるんだよすごいんだ!」って。
── でもエロには走らずクリエイティブな使い方をしたと。
HSP:いや、その辺は(笑)。18歳になるまで買えませんから、指をくわえて雑誌の紹介記事を見て夢を膨らませていました。イラストの仕事も、そっち方面が最初ですね。ネットで知り合いができて、それで声をかけてもらったという。
でも本当はイラストだけではなく、アニメもやりたかった。だから軌道修正ということで、色んな会社に絵を持ち込んだり就職活動をしてました。そんなとき、ネットで知り合った非常に尊敬している業界の方に話をしたら、ウチでやってみないかと。それが今の仕事につながっています。
スピーカー以外何もナシ!の潔い制作環境
── 気になっている人も多いと思うので、今の音楽制作環境を教えてもらえますか?
HSP:Macで「Ableton Live 8」※1です。音源はフリーのものも含めていろいろ。「Vanguard」※2、「Sylenth1」※3、あとはRob Papenっていう人が作っている「Blue」※4などを使っています。
── 「Synth1」※5を使っているという情報もありましたが。
HSP:昔は「Psycle」※6と一緒に使っていました。軽くて音もいいんですけど、WindowsからMacに環境を変えたので、Mac版がないSynth1は使えなくなったんです。
── Macに変えた理由は?
HSP:場所を取らないパソコンが欲しかったから。iMacの白い筐体の最後のヤツですね。初音ミクもWindows版しかないんですが、「CrossOver Mac」※7の上で使っています。
── ハードシンセは使わないんですか?
HSP:やはり部屋を広く使いたいという理由で使っていません。今の制作環境は、機材的に言えばスピーカーしかないんです。PCのキーボードを鍵盤のように置き換えて使うこともできますからね。
※1Ableton Live 8:エイブルトン ライブ エイト。繰り返しの音(ループシーケンス)を基本に曲を作っていくミュージックワークステーション。リアルタイムで創作していく用途に向いている。製品情報はこちら。
※2Vanguard:ヴァンガード。シンプルなVSTi対応のバーチャルアナログシンセ。トランス系のアーティストに人気。サイトはこちら。
※3Sylenth1:サイレンスワン。VSTi対応のバーチャルアナログシンセ。HSPいわくRolandの名機「JP-8000みたいな音が出る」とのこと。製品情報はこちら。
※4Blue:ブルー。VSTi対応のソフトウェアFMシンセ。HSPは動作の軽さがお気に入りらしい。製品情報はこちら。
※5Synth1:シンセワン。HSPがWindowsで使っていた国産バーチャルアナログシンセ。VSTi、DXi対応。無料なのに高性能でお勧め。製品情報はこちら。
※6Psycle:サイクル。同じくHSPがWindowsで使っていた、往年のMODトラッカーに近いシーケンサ。VSTiやASIOに対応し、レンダリング出力もするモダンな仕様。これもお勧めのフリーソフト。製品情報はこちら。
※7CrossOver Mac:Mac OS X上でWindowsのアプリケーションを動作させるWindows互換レイヤーのこと。「Parallels Desktop」や「VMware Fusion」といった仮想化ソフトとは異なり、Windows OSを必要としないのが特徴だ。製品情報はこちら。