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テレビの未来を握る新技術「TVML」開発者に聞く

2009年04月17日 12時00分更新

文● 盛田 諒/ASCII.jp編集部

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これからの課題は「人間くささ」をどこに出すか

テレビ的なものを作るには「やっぱり人間くささが必要」という

 話を聞きながら、気になってきたのは直近の課題。テレビにエンジンが入るのはまだ先のことのはず。動画投稿サイトやSNSなど、何らかのサービスに導入されるのだろうか。

 そう尋ねると「具体的には決まっていないんです」と答えが返ってきた。「他でやっていたら、やってみます」と断られるケースが多かったという。ただ、その中で一社だけ正反対のことを言った会社があった。ディズニーだ

 「他社が導入していないなら、導入してみたい」と言い、映画「ウォーリー」の期間限定プロモーションサイトでT2Vプレイヤーのエンジンが使われた。ユーザーがサイト上でボタン操作し、動かしたウォーリーの動画をケータイから観られるというものだった。

 いかにも日本らしい話だが、国内では教育用途としての導入例がある。学校で使用しているケースもあるという。高校で「生徒が自分で数学の動画教材を作る」というユニークな授業をした例もあったのだとか。

 また、これからの課題は「人間くささを作ること」だと林さんは語る。

 たとえば「自分専用の朝の30分番組」を作ったとする。テレビをつけると、メールを読み上げ、ニュースを流し、お気に入りのブログを読み上げ、天気予報が流れ、最後に占いが入る。それらのコンテンツはすべてネット上にあるもので構わない。

動画の背景や照明、キャラクターなど番組の設定は自由にカスタマイズできる。まさに「自分専用の30分番組」を作ることができる

 テキストと画像を送るだけでいいので容量も大きくならず、視聴も快適。原理的にはインターネット上のコンテンツをプロキシサーバー経由で見ているのと変わらない。ネットワーク上の情報を何もせずに「眺められる」のはとても便利のはず。

 だが、一番の問題は「三日足らずで飽きてしまう」ことだった。

 キャラクターのクオリティーを上げればいいという問題ではなく、人間的なブレが必要なのだという。たとえば1992年から1994年までフジテレビ系列で放映されていた子ども向け番組「ウゴウゴルーガ」は、キャラクターこそCGでも、声は生身の「人間」のものだった。

 技術のための技術ではなく、楽しいもの、面白いものを発想するため、こういった課題にもしっかり取り組んでいきたいと林さんは語る。

 「まったく違うニュースをはさんだり、ユーザーの期待をいい意味で裏切る必要がある。そういうブレイクスルーが必要なんですよね。やっぱり人間くささが必要なんですよ」。


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