照明がセーブされているナイト・レース
ロッシル・サーキットにも夕闇が迫ってきた。せっかくのドーハ8時間耐久レースだし、やっぱり写真を撮ろう。しかし、重大な問題に気がついた。ホーム・ストレートのパドック側の照明がついていない。照明がセーブされているのだ。これは写真を撮るには痛い。観客席に指定されているところからくらい、良く見えるように照明をつけましょうよ。
やっぱりグランド・スタンドに行こうか。だが、フィニッシュまで2時間を切っている。片道30分。フィニッシュの後の表彰式はピット・ウォールで撮りたいので、戻ってくるのに30分。よし、往復1時間歩いてパブリック・エリアまで行こう、と決断した。
タクシーでグランド・スタンドへ
パドックからグランド・スタンドへ歩いていく! そう決めた僕だが、やはり何もない道を片道30分はツライ。途中、警備員の前を通るたびに呼び止められる。サーキット構内を歩いている奴なんていないからである。パブリック・エリアに歩いて行くというたびに「正気か?」「やめとけ!」「なんで?」と言われまくり。
ゲートまで来た。ゲート通過の証拠写真を撮ったら、オマワリさんが突然怒り出した。
「何で写真撮ってるんだ! 写真を撮るのは問題があるって知らないのか!」
スポーツ・イベントで記念写真を撮ったら怒られるって……。しかし、少しだけ幸運も待っていた。ゲート前でタクシーが客待ちしていたのである! ラッキーと思った瞬間、Uターンしようとするタクシー。慌てて駆け寄り窓を叩く。
ゆっくりと走るタクシーは、約5分でグランド・スタンド着いた。料金は5リアル(約150円)。あんなにコース全長が長い鈴鹿サーキットだって、歩いて場内を移動するのがそんなに苦にならないのに、タクシー移動とは何か釈然としないが仕方がない。ゲートを入ろうとすると係員に呼び止められた。
「カメラ持って入ったらダメ。アルジャジーラ・チャンネルしか撮影できないことになっている」
たぶん係員は、何かと勘違いしているのだろう。パドック側から見て、写真を撮っている人がいたし。でも、そんなことを説明するのも面倒くさい。
「僕はアルジャジーラの人だよ」
と言って、そそくさとグランド・スタンドへ。これは本当のことで、僕はアルジャジーラ・チャンネルのメディア訓練開発センターの臨時スタッフなのだ。
(次のページへ続く)