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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第45回

世界最強の危険リンク集を作った「常識人」の姿とは?

2009年04月13日 12時30分更新

文● 古田雄介

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UG色のきっかけは『ラジオライフ』

―― 世界最強の危険リンク集をはじめたきっかけを教えてください。

HIDE 僕はパソコン通信を経験してWindows 95が登場したあたりからインターネットを始めました。その頃は、何というか普通のページがほとんどだったので、PC系のマニアックなページを集めておこうと考えて始めたのが最初です。

 最初は「アンダーグラウンド」という言葉も定義も知らなかったくらいで、純粋に自分が興味を持ったサイトをリンクしていました。自分用の色あいが強いから、特に人に見てもらう意識もなく、単純にリンク先をテキストで並べるような体裁でしたね。

 そこから現在のカラーになったのは、『ラジオライフ』*1 との出会いが大きかったです。当時からアングラに近い匂いを醸し出していて、それが自分にはすごく衝撃的だったんです。エログロを含め、PCと関係ないアングラネタを集めるようになったのは、それ以降ですね。

HIDE氏。現在もHTML手打ちで更新を続けている。2000年前後の頃は「ICQ」を使って、友人達とチャットを楽しんだという


―― アングラ色で行くと決めてから、本格的に体裁を整えていったわけですね。

ラジオライフ(三才ブックス)は現在も続いている老舗アングラ誌。写真は2009年5月号のもの

HIDE いえ、その少し前ですね。僕は愛知県に住んでいるんですが、テキストだけ並べている初期の頃に地元の地方誌から掲載依頼のメールをいただいたんです。

 全然作り込んでいないサイトでしたけど、当時はインターネットでホームページを作っている人自体がすごく少なかったので、僕にお声がかかったんでしょう。

 その頃はサイトに本名やある程度の住所を載せていましたから。そこで掲載されて、気をよくして、コツコツやってみようかなと思ったんです。あの掲載依頼がなかったら、こんなに続けていないでしょうね。


―― なるほど。ちなみに、当時はどうやって情報収集していたんですか? Yahoo! Japanは96年4月1日にスタートしていますが、まだアングラ情報が探しやすい環境ではなかったでしょうし。

HIDE 当時は「千里眼」と「Yahho」をよく使っていましたね。ラジオライフを読んで、「ああ、この単語で検索してみよう」という感じで。今はサーチエンジンを変えていますが、基本的なスタイルは変わっていないですよ。ただ、自分でイチから検索するというより、掲示板やメール、チャットで読者から「こういうサイトがあるよ」と教えてもらうことが多いです。海外サイトは特にそれが多いですね。


―― 今も高頻度で新しいリンクを追加していますが、情報収集にはそれほど手間をかけていないわけですか?

HIDE そうですね。平均するとサイトの更新と情報収集に1日1時間弱しか使っていません。リンク切れは読者からの連絡でのみ対応する方針ですしね。ネットで探しているよりも、友達と話しているほうがよい情報が集まったりするので、そういう時間を大事にしています。

*1 ラジオライフ……三才ブックス発行の月刊誌。アマチュア無線などの電波関連情報がメインコンテンツながら、ハッキング情報や偽造クレカ情報などのきわどいネタや、サブカル系のネットカルチャーに関する濃い情報も掲載している。1980年創刊

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