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スマートフォンがオフィスとワークスタイルを変える!?

未来のオフィスを考えるブロガーイベントに行ってみた

2009年04月08日 06時00分更新

文● 松本 淳

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 3月末、日本のオフィスの中心地虎ノ門で、「未来のオフィス環境とワークスタイル」と銘打たれたブロガーイベントが開催された。

 主催は、株式会社 企(くわだて)の渡辺聡氏。企業支援事業の傍ら、CNET Japanなどにも多くの記事を寄稿するITコンサルタントだ。

「電子私書箱(仮称)構想」:政府でも現在、社会保障サービスなどの情報を、Webで一元的に参照し、管理・利用できる仕組みの検討を進めている。クラウドコンピューティングは国をあげた取り組みでもあるのだ http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/epo-box/index.html

 政府も行政関連情報をマイページ化する「電子私書箱構想(仮称)」を練るなど、Google型のコンピューティングが、私たちのライフスタイルに大きな変化をもたらそうとしている。当然、働き方・ワークスタイルもその例外ではない。

 このイベントは、数回のディスカッションを通じて、変化するワークスタイルの未来像を探ろうというものだ。

 渡辺氏から提示された今回のテーマは、「スマートフォンのインパクト」。iPhoneに代表される新しいモバイルコンピューティングのスタイルが、働き方にどのような影響を与えるか、あるいは与えて欲しいか、約20名のブロガーとオフィス業界の専門家が意見を交えた。

 活発なディスカッションの結果生まれた、意見やアイディアを一部紹介する。

入力はもっと改善されるべき
ビジネスにフル活用するためには、入力方法はまだまだ改善の余地がある。特に日本語対応はiPhoneのようなグローバル型のデバイスでは、少し後回しになっているきらいも。今年のOSのアップデートにも期待したい。
ライフログからワークログへ
 常に持ち歩いていて、ほぼいつでもネットに繋がっている特徴を活かして、思いついたアイディア、街中の参考になりそうな写真などを統合し、ログとして活用できるデータベースがあると嬉しい。
身近なAR(拡張現実)端末として
セカイカメラのようなAR技術をさらに拡張し、例えば建設現場で、サーバー上の3次元データを現地の映像と統合して、スマートフォン上で参照できると、クライアントへの説得力や商談の効率は飛躍的に向上しそう。
つながりを快適にするサービスを
このイベントでもお互いのビジネス上の共通点が分かるまでに30分近く掛かった。LinkdInの発展系のような形で、スマートフォン内にビジネス上の履歴やスキルを入力しておき、周辺のデバイスで一致する項目があると、自動的に知らせてくれるような仕組みも面白いかも。
イベント

イベントで使用されたスライド。マインドマップやイラストも。

 普段の仕事では、こういったアイディアはどうしても個人の中で埋もれてしまったり、場合によっては隠したくなったりするものだ。しかし、このイベントではそれらを共有し、互いのフィードバックでさらに拡張・補強されていった。それ自体が、これからの新しい協働の在り方を確認できる場ともなっていたようだ。

NuevaSync

個人でもiPhoneとGoogle Calendarを同期できるNuevaSyncもExchageサーバーを介して同期を実現している

 渡辺氏がCNET Japanで指摘しているように、PCに限りなく近づくスマートフォンだが、現状は、まだまだコンシューマというかエンターテインメントシーンで限定的に使われているにとどまっている感がある。早い段階で、ビジネスワークシーン、引いてはエンタープライズに向けた応用を考えておくことは、かなり意義がある動きだ。

 iPhoneのビジネスユースについては、OS 2.0でMS-Exchangeに一通りの対応を行ない、セキュリティも強化された。OS 3.0ではAPIの拡充も予告され、そのニーズもかなり満たすのでは無いかと期待されている。

 一方、セキュリティに関してはビジネスユースもさることながら、冒頭で挙げた公共サービスに関わる個人情報を扱う場面では、より厳格な扱いが求められている。現在のスマートフォンと関連サービスは、まだそれを満たすには至っていないのもまた、一面の事実なのだ。たとえば現状のiPhoneにはファイアーウォールや、内部データのネイティブ暗号化が実装されていない。

 現状まだ不十分な面があることは、逆に言えばビジネス活用の余地はさらに広がっていることを意味する。今後もこういったイベントでの、アイディアや議論の行き先を追っていきたい。

著者紹介:松本淳

ネットベンチャー・出版社・広告代理店等を経て、現在、東京大学大学院情報学環修士課程在籍。ネットコミュニティやデジタルコンテンツのビジネス展開を研究しながら、デジタル方面の取材・コラム執筆、映像コンテンツのプロデュース支援活動を行なっている。米PMI認定PMP・デジタルハリウッド大学院デジタルコンテンツマネジメント修士。


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