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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第66回

Gyorolに見る生活リモコンとしてのケータイ

2009年03月28日 15時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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デジタルサイネージとインタラクションとケータイ

 バスキュールは、世界各国でネット広告賞を受賞しているインタラクティブコンテンツ制作企業。最近では、日本に参入した男性向けフレグランス「AXE」のウェブ広告が話題になったが、中でもモバイルを使った「チョコマンハンター」は、賞金獲得キャンペーンとあって、大きな盛り上がりを見せた。

ディレクター馬場鑑平氏

 「自分のケータイのQRコードを友達に取らせると、相手のケータイにチョコマンが移動して、ポイントをゲットできる、というルールで、ポイントの上位10人がAXEの売り上げの1%(約500万円)を山分けする、という賞金ゲームでした。ケータイ同士でチョコマンが増殖していき、PCではハンティングのログや賞金の状況が見られるようにしました」(馬場氏)

 自分のランキングがすぐに確認できるため、 ゲームの期限が迫ってくると、ポイント競争も激化して、非常にアクセスが伸びたそうだ。また自分がチョコマンを交換した人とのつながりもできていったため、モバイル同士でキャンペーンを広げられる可能性を見せた、とても良い事例となった。

 「2009年1月にモバイル事業部が立ち上がりましたが、モバイルへの本格的な取り組みは2008年から始めています。モバイル単体で何かやろうというよりは、モバイルを使って何ができるか?という部分を追求したいと考えていました。モバイルは画面が小さいから安いではビジネスにならない。そこでモバイルならではのクリエイティブを打ち出したいと考えています」(白川氏)

 白川氏は、モバイルの使い方として、まずデジタルサイネージと絡めることを考えていたそうだ。現在のデジタルサイネージはテレビの広告がそのまま流れていて、コンテンツが不足している点に気づき、「インタラクティブな体験を外出先で出来ないか」と考えた。そこで生まれたのが、Gyorolにも通じる、大型ビジョンとケータイとの間でのインタラクションである。

 「バスキュールではケータイとデジタルサイネージとを絡めたい、と思っていました。ケータイでネットワークを使ってみんなが参加できるものを作りたい。初めは、画面の中のゲームを、ケータイをコントローラーになる、シングルユーザー向けのインタラクションを作りました。例えば大画面のキャラクターをケータイから操作し、土管に入るとケータイの画面にキャラクターが入ってくる。そうすると、大画面とケータイがつながっている感覚がすぐに分かります」(白川氏)

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