このページの本文へ

Apple Store Ginza「Dream Classroom」

農業もクリエイティブ 宇川直宏かく語りき(後編)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

アップルがクリエイティブにしてくれた

宇川 僕が最初に購入したのは「Macintosh IIci」。訓市くんは最初に何を買いましたか?

野村 僕は、(Macintoshは)高いというイメージで、手に入らなかったんです。学校では、理科の先生が「apple IIe」を持ってました。それでロールプレイングゲームをやったのが最初。緑色の……カラーじゃないモニターだった。

宇川 IIeすごいですね、かなり昔ですよね。

野村 子供心に何がいいって、あの7色のリンゴのマークが格好いいんだと思って。そのためだけに欲しかったですよね。

Macintosh IIci

Macintosh IIci

宇川 ボード自分で入れ替えたりしてたでしょ。当時。

野村 まったく分からない……。とにかくステッカーが欲しくて欲しくて。

宇川 なぜIIciを見せたかったかというと、これが僕の創作の源になってるんです。かつては今まで影響を受けてきたものを具体化させるための装置って、何も持ってなかったわけですよ。俺はドローイングとか、特に何の表現もしてなかった。アップルがクリエイティブにしてくれただけなんですよ。

野村 逆に言うとね、昔は色々な表現をするのにもお金も場所もかかって、やりにくかったと思うんです。宇川くんのような活動をするには、やっぱりこういうのがないと。

宇川 そうなんですよ。当時やっぱりIIciで、RAMが16MB、HDDが180MBとかそういう世界で。RasterOpsの「Color Board 364」っていうカラーボードを入れて、さらにRasterOpsの「Video Expander」を使えばNTSCアウトができたんですよ。フルカラーで。

 そこからビデオデッキに(Macの)中で組み上げた映像を出すと。当時はオーサリングソフトの「MacroMind Director」もバージョン1.0で、「Photoshop」の1.1ぐらい。「Illisutrator」も1.1とか1.2とかあたり。それを駆使して映像を作っていってたりしたんですよね。あとは「Swivel 3D 1.0」とか。

IIciの中身

IIciの中身

野村 そういうのも全部自分で覚えて?

宇川 自分で覚えて。日本語のマニュアルもなかったから、全部英語を訳しながら、独学で学んでいって、ようやくそこから自分の創作が始まったと。VJの原点もそこなんですよ。当時IIciで、もう5fpsみたいなカクカクした映像を。

野村 それっていつぐらいの話ですか?

宇川 確か1989年で、出たばっかりだと思うんですよ、ci。この筐体があったからこそ、俺の創作の原点みたいなものがあるなと。やっぱアップルって、サンノゼに会社があって、サイケデリックカルチャーと関係してるじゃないですか。

野村 ぼくらもついついそういう風に思いがちっていうか、そうあって欲しいっていうか。

宇川 サンノゼで生まれたっていうのもそれが結構重要なのかなと感じていたりして。最初の「Summer of Love」が実際、サンフランシスコのバークレイで起こったわけで、そのピースフルな息吹っていうかヒッピーイズムって、やっぱりパーソナルコンピューターの概念には確実に活きていると思うんです。特にアップルは、あのフリーなバイブが根付いている。

 そのサイケデリックレボリューションの裏っかわにベトナム戦争があって、「銃を捨て花を掲げよう」という概念をポリシーとしては根底に持ってる。その息吹がかかったコンピューターって、すごいユーザーフレンドリーで、「身体の一部として機能できるな」とこのときから思ってて。もはや身体の一部になって、今はMacBookのProを使ってますけど、「添い寝スタイル」っていうのを途中から編み出して。

野村 何ですか?

宇川 添い寝スタイル。いま創作の場ってベッドルームなんですよ。横になりながら、ずっと創作してるわけですよ。

野村 僕もそれしばらくやってたら、片目だけ視力が落ちちゃって。

宇川 まじで(笑) で、疲れちゃったら寝ちゃうと。起きたらそのまま仕事をすると。また疲れたら寝ていって。それの何が重要かと言ったら、夢の中にそのまま創作のイメージというのが注入されていくんですよね。レム睡眠状態も、ついさっきまでやってた創作のイメージをそのまま持ってると。夢から解放され、深い眠りに入ってノンレム睡眠に入った後も、地続きで創作が続いていくという。だから「添い寝スタイル」を提唱してるんですけど。でもぎっくり腰になってからは結構キツくなってきてるという(笑)

野村 結構そういう人いますね。ラップトップが枕のそばにあって、電磁波を浴びないと寝れないという。

宇川 俺もまさにそう。それも、自分の脳と身体の一部であるってことですかね。

野村 しかも今、全部ラップトップでできるようになっちゃったというのが凄いですよね。

宇川 だから、自分の中のクリエイティブ器官だと捉えてるんですよね。

野村 駆け足で宇川さんのちっちゃい頃の話から、どう創作のインスピレーションに結びついたかということから、かなりワイドな話だったんで。

宇川 他にもたくさんあるんですけど、音楽とか。映像とかもたくさん持ってきたけど何も見れなかったという(笑)

カテゴリートップへ

Apple Store オススメ製品

ASCII.jp RSS2.0 配信中