カスタマイズ分野に伸びしろあり
iモードはこの10年間だれの目から見ても大成功を収め、素晴らしい一大マーケットを作り上げた。では、今後iモードは何を目指すのだろうか。原田氏は「常に手放さない存在であるケータイの中に、自分の大事なものがすべて入っている状態になるだろう」と答える。
例えば、「ケータイの中にクレジットカード機能だけでなく、ポイントカードもすべて集約してくれるだけでとても便利になる」と述べる。そして、「自分のスケジュールをリマインドしてくれたり、スケジュールを書き込んだら、ケータイと手帳とパソコンの全部に同じスケジュールが入ったりしたら非常に便利」とより生活者の行動支援に繋がる方向性を指摘する。
そして、そういったより精度の高い行動支援に繋がるサービスを2008年11月に新しくスタートさせた。それが、ユーザー1人1人の生活をサポートする「iコンシェル」だ。それまでは、ニュースサイトが更新されているかどうかは、ユーザーが能動的に情報を取りに行かねば分からなかった。しかし、iコンシェルを使えば、新たな情報をケータイが執事のようにユーザーに伝えてくれる。「このように、欲しい時に欲しいものがやってくるのが、今後10年でさらに進化して、登場するのではないか。その第一歩がiコンシェル」と原田氏は述べる。
国民の全年齢層がターゲットになったサービスである以上、「マニュアルを見ないでも、感覚で使えるようにまで改善する必要がある」(原田氏)。これまで以上にユーザビリティの向上につながることにはさらに力を入れていく。そして、今まで以上に多くの人により深くケータイが結びつく生活シーンが生まれていくのであろう。
「ケータイのボタンを押すだけで、我が家のハードディスクにテレビ番組が録画されるといったことも当たり前にできるようになっていくのでは。ケータイがあらゆる生活シーンのすべてのハブになることは十分考えられる。そうした時こそ、本当の意味のカスタマイズがケータイで実現できる」(原田氏)。