── 「Change」を掲げたオバマ氏の勝利は、米国同様に問題山積の日本でも注目されています。日本がオバマ現象から学べることを具体的に教えてください。
対立候補にとって有利なはずの過去の実績も、「Change」という視点で見ると未来に不必要な古いものと意味づけられてしまった。つまり彼はひとつの価値観でしか見ていなかった人々が、新しい価値観で見る土壌を作り上げたのです。
これを「視点の流動化」と呼んでいますが、物事をいろんな側面から見られると、その出来事の意味が変わります。オバマは実績のない自分を「未知の可能性あるリーダー」として意味づけた。これはとても大切なことで、いま自分がしていることが何なのか意味づけしていく練習をすると、見えないものも見えてきます。
多様性社会を生き抜くコミュニケーションの力
── ビジネスの場でも、オバマ流コミュニケーションは活用できるでしょうか?
インターネットで世界からあらゆる情報が流通している今、日本人の価値観もますます多様化しています。この多様性をマネージできるかが、ビジネスにおいても今後のカギとなると思います。日本人は自分たちがコミュニケーション音痴だと思っていますが、そんなことはありません。もともといろんな価値観を許容してきた日本は、コミュニケーションが生きていくために不可欠な力だと意識してこなかっただけです。
けれども今後は日本人もコミュニケーションが力であることを認識し、リーダーだけでなく組織全体が共感のコミュニケーションという力を備える時代になると思います。みんながひとつになるかは意識の問題。コミュニケーションをどう力に変えていくか、オバマ現象から学ぶべきでしょう。
本記事は「月刊ビジネスアスキー 2009年4月号」の特集記事を元に、編集・再構成したものです。
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