和連和尚は今回のセミナーをこう見た
テレビは視聴機を売る会社と、コンテンツを売る会社がばらばらのビジネスだからこそ難しい側面と、それゆえに面白い側面の二面性がある。本セミナーの第3部ではその「面白い」側面から見たテレビの可能性についての議論が大変興味深かった。
放送は30年に一度しか革新されないが(編集部註:たとえばスーパーハイビジョンの実用化は2025年以降になると見られている)、テレビに汎用プロセッサを用いてPC化し、コンテンツをネットから流し込めば、電波によるテレビ放送規格にしたがうことなくさまざまなコンテンツ、たとえば4K2Kのスーパーハイビジョンや、超高音質映像、自由に視点移動が可能な特殊映像などを流し込むことができてしまう。
PC化するテレビ
電機メーカーは競争力を失うのか?
テレビ本体を製造する電機メーカーにとって汎用プロセッサーを採用することは、競争力の源であるテレビ用独自SoC(システムオンチップ)を捨てる行為にほかならないためハードルが高い。しかし、上はPCアーキテクチャのSTB、下はスマートフォンなど各所でじわじわと汎用プロセッサによる侵攻が進んでいる今、久夛良木氏・麻倉氏の言う「フォーマットフリー」なテレビはすぐそこまで来ていると言えなくもない。
Cellを推し進めてきた久夛良木氏のセミナーへの感想としては大変恐縮だが、Intelのメディアプロセッサー「CE3100」などは、まさにその尖兵となるやもしれない。
コメンテーター紹介:岩佐琢磨氏(和連和尚)
(株)Cerevo代表取締役。パナソニックを退職して、2007年末にネット家電の開発を行なうベンチャー企業「Cerevo」を起業。
人気ブログ「キャズムを超えろ!」を運営。家電業界やウェブサービス業界の企画/マーケティング関連のエントリーはネットでも高い支持を得ている。